07  -吐血コラムTOPへ-

演技と天然

 今年上半期に登場し、今なお進化・拡大し続けている連鎖的事件、オレオレ詐欺。当初は“通称オレオレ詐欺”などといかにも俗っぽい言われようだったのが、いつの間にやら通称の二文字は外された。完全にお茶の間に定着した証しでもある。といいながらも、茶の間のひとときが絶滅しつつあるから、こんな事件が続出するのだとも思う。矛盾だ。ともかく、騙すのも悪いが騙されるほうもどうかしている、なぜ騙されるのか? そんな言葉があちらこちらで聞かれる昨今である。
 加害者の立場になって考えてみれば、世の中カモだらけってことになるだろう。かつて、売れない役者(例えば単なる劇団員とか)はツブシが利かないとかなんとかいわれていたけど、今は昔。芸は身を助く、演技があればなんでもできる時代の到来である。
 かくいう私の知人にも数百万の単位で金銭を騙し取られた自称被害者がいる。それゆえ身に迫る恐怖を一応感じといたほうがいいのかもしれないが、どうもピンと来ない。というのも、善良な市民が被害にあったかのように報じられることが多いこれら事件に対して「そうじゃないだろ」との思いを抱いているから。見方を変えれば「事件がオモテ沙汰になる前にもみ消そう」、「厄介なことはカネで解決しちゃえ」というある意味、小悪党的に思考回路を働かせた人間が被害者となり得ている場合が大半なのではないかって話だ。結果として被害者の立場に落ち着いているけど、アンタら決して正義の人ではないだろ。哀れではあるが、同情の余地なしってことなのよ。
 対して、同情に値するのは、キチガーイによる一連の犯罪に巻き込まれた被害者である。とりわけ学校に凶器を持って侵入する不審者のそれは、まさにリアルなまはげ…日本列島総男鹿半島化かっつうの。児童にとっては不可抗力の極み。鬼ごっこ中に鬼畜に襲われたなんて洒落にもならない事件まで発生している。鬼ごっこじゃなく、隠れんぼをしてれば無事だったのに…という問題ではもちろんない。神が言おうが悪魔がささやこうが、従うなよぉキチガーゐ…ってことなのだ。
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