菅野技工1[ディスクシステム修理]
あなたは任天堂ファミリーコンピュータ、ファミコンをご存知だろうか?
家庭用ゲーム機全盛の今日を築き上げるキッカケとなった家庭用ゲーム機である。 1983年に任天堂より発売されたファミコンは\14800という高額にもかかわらず、爆発的に家庭に広まっていった。そして1985年になると、ファミコンを拡張するゲーム機としてディスクシステムが発売された。 こちらも\15000という高額であったが、ソフトを書き換える事が出来るという画期的なシステムで、 当時かなりの話題になったものだ。 ディスクライターという機械の設置されている玩具店などで、1タイトル\500でディスクを書き換えることが出来たのである。今ではその姿を見ることは出来ない...。
そんなディスクシステムも、発売からかなりの年月が経ていることもあり、故障していて動かない場合がほとんどである。その故障の原因としてもっとも可能性が高いのが、ドライブベルトの劣化だ。 ディスクカードの磁性体を回転させる為にモーターとシャフトを繋いでいるゴムベルトが、伸びたり切れたりしているのである。 ここではそのドライブベルトの交換方法を画像を交えて、解りやすく解説していくものである。
注意:このページを見て閲覧者が行ったディスクシステムの分解修理においては、各自の責任で行うものであり、なんらかの事故や損害が発生した場合でも、筆者または当サイトネットワーク管理、運営者および任天堂に責任は無いものとします。自信の無い方は、任天堂に修理依頼をしてください。
任天堂では現在でもディスクシステムの修理を受け付けていいる。
また、修理に当たっては純正のドライブベルトを入手した方が確実なので、任天堂お客様相談窓口まで問い合わせてみよう。
ドライブベルトは1本\200。消費税が入り\210。送料は\80。
合計\290円分の切手と注文書を部品係当てで送ると一週間くらいで届きます。
修理に関しても、依頼者からの送料を除いて\3000以下で済むようです。
さらに、任天堂ではディスクカードの書き換えを現在でも行っています!。
興味のある方はディスクシステム書き換えのご案内を参照してみよう。
準備をしましょう
必ず必要なのはプラスドライバーです。できれば1号と2号の2本あると良いです。
また、確実な作業の為には 1.2mm 径の六角レンチも用意してください。
新しいドライブベルトを安全確実に取り付けるために細部まで分解します。
さらに、ピンセットがあれば作業が楽になるでしょう。
修理をしましょう
〜 筐体分解 〜
ここで、故障原因が本当にドライブベルトであるかどうかを確認してみましょう。 ファミコンとディスクシステムを接続し、オープニングBGM、マリオ&ルイージの追いかけっこが現れる事を確認してください。次に適当なディスクカードを入れます。この時にガチ・ガチ・ガッチンコという機械的な動作音が聞えずに、シュルシュルという音(ベルト伸び)や、まったく音がしない(ベルト断裂)場合には、ドライブベルトが故障の原因と考えて良いでしょう。
まずはディスクシステム本体(以下、本体)を裏返します。
本体はケース下側から、6本のなべネジで止められているので外します。
筐体を表向きに直して、ケース上側を引き上げます。
この際にツメ等は無いので、簡単に開けることが可能です。
ケース前側の黒いカバーを引き上げて外します。
ディスク動作ランプへの配線に気をつけて外してください。
これでケースの分解は完了です。
〜 ディスクユニット救出 〜
次はディスクユニットをケースから外します。
正式名称は解りませんので、ディスクユニットのスロット部とドライブ部として説明します。
ディスクユニットは、ケース下側にショックマウント(振動をやわらげるゴム、ブッシングとも)を挟んで4個所で固定されているので、そのネジを外します。
電源ユニットとドライブ部を接続しているコネクタを引きぬけば、ディスクユニットを取り外すことが出来ます。
この時に、ショックマウントが劣化して癒着している可能性もあるで、気をつけて取り外してください。
また、組み上げの際に邪魔になるので、電池収納ボックスを取り外しておいた方が良いかもしれません。
〜 ドライブ部分解 〜
ここからが分解の胆となります。ディスクユニットを裏返して、ドライブ部の裏側を向けます。
○で示したネジ3個所を外します。
カバーを外すと、ついに故障原因であるドライブベルトを視認する事ができます。
スロット部を上にして、○で示した部分のシャフトに取りつけられている部品を取り外します。六角レンチで固定ネジを緩めて取り外します。
取り外した部品の下にワッシャーがあるので、無くさないように気をつけてください。
○、□で示したネジを外します。
この時に□で示したネジだけが規格が違うので、なめないように気をつけてください。
左側の基板を軽く持ち上げて、右側のブリッジごと引き上げ、シャフト部分を取り外します。
この時に、左下のモーターからドライブベルトを外しておくのを忘れないように。(どうせゴミですが...)
歯車の一つ(A)は簡単に抜けますので外します。このとき、歯車Aの上下にワッシャーがあるので気をつけてください。
いよいよ、ドライブベルトの取り外しです。一番気をつけてやって欲しい作業です。
左側の歯車(B)は、ブリッジに固定されているので、無理に引きぬかない方が賢明です。
歯車Bを痛めない程度に歪曲させて持ち上げ、シャフト部分を引き上げて外します。
見事にドライブベルトを外すことが出来ました。おめでとうございます。ありがとうございます。
〜 組み上げ 〜
画像のようにドライブベルトを通して、後は今までの作業を逆にやっていけば組み上がります。
気をつける点としては以下の通りです。
● ブリッジにシャフトを戻すときに、歯車Bを割らない
● ブリッジ部分の組み上げ時に、ワッシャーを忘れない
● ブリッジ部分をドライブ部にハメ込む時に、少しコツが必要
● ドライブベルトをモーターにかける時には、ベルトを伸ばしすぎない
● スロット内のシャフトに部品を取り付ける時には、ピンセットがあると便利
● ドライブユニットをケースに固定して、コネクタを接続してから電池ケースを取り付ける
そんなに難しい事ではありませんが、気になった点はこんな感じです。
ケースを完全に閉じてしまう前に、動作確認する事をお勧めします。
ディスクの読み取り時に[ERROR.27]が発生する場合は、シャフトに取り付けた部品の向きが合っていない可能性があります。45度くらいづつずらして、動作確認を行ってください。
これで動作しない場合には、ディスクカードの異常も考えられますが、原因の調査は難しいです。 任天堂に修理依頼をしましょう!
以上で、ディスクシステム修理は終了です。
故障したディスクシステムの何台かでもが、このWEBページをきかっけに復活してくれれば嬉しいです。 そんな時には菅野技工BBSの方に一言でも書いていただければ、と思います。
初版(サーバーHD死亡で紛失)を執筆した際には、他に原因があり完全な動作確認は行えませんでした。 その後、動作確認をする事が出来、これらの記述に大きな間違いはないと確信しています。 第二版を執筆時点では、我が家のディスクシステムは元気に動いております。