Moonshine <Pray and Wish.>
Episode 08 (Final)

 書き始めてからちょうど5年半くらい、か。
 長かったなあ。

 ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました。本編がまだの人は、先にそちらを読んでくださいませ。

 このコメントを読んでくださっている方々には、感謝の言葉以外になにもありません。
 最後まで粗削りさからは脱却できなかったのが心残りですが、現時点の環境下ではやれることはやったつもりです。

 Episode08-01は少々時間がかかったのですが、02以降は一気に書き上がりました。過去最速のスピード?かも。03が短いはずだったのですが、Epilogueが長くなりすぎて、一部03に組み入れる始末でした。また、最後の最後で書き方を少し変えてみたりとか、新しいことに挑戦してみたりなどと、少々実験的なライティングとなったEpisodeでもあります。もし何か違和感とか感じられましたがごめんなさい。報告いただけると嬉しいです。

 第一部が終わった段階では、二部構成にするか三部構成にするのかも未定で、またアイデアメモと化してしまった「Moonshine Preview」の内容はほとんど本編に使われていないという、とんでもない状態で書いていた第二部でしたが、自分としては納得のいく終わらせ方になったと思います。
 今こうして振り返ってみると、第一部が拓也が運命の渦中に巻き込まれていく物語で、第二部はすでに運命に組み込まれていた音々が自分で自分の道を探す物語、そんな感じだったんじゃないかな……なんて気がしています。
 第二部以降のプロットそのものは数パターンを考えていて、Previewには別プロットからもってきたシーンなんかもあったりします。まぁ拓也が「黒い魔人」と呼ばれるようになったり、理沙の最期を志帆がするのは共通項なんですが。
 終了記念に2パターン程、ざっと書いてみると……


<1>
 第二部。
 拓也「黒い魔人」化。音々がそれを打破。晃司の策略で英雄に祭り上げられていく音々。詩織を実体に引き戻すためには「願いシステム」の発動が必要で、その鍵になれるのは拓也だけ。しかし「願いシステム」は自治領軍の占領下にある。反乱軍の先陣を切って戦う音々たちは、「願いシステム」を奪取。二度目の「光の夜」で詩織が生還、引き換えに拓也は消滅。再び廃虚と化した光景に絶望した志帆が理沙を射殺。


<2>
 第二部。
 拓也「黒い魔人」化。音々がそれを打破し、懐柔。晃司の策略で英雄に祭り上げられていく音々。しかし月で理沙の別動隊によるクーデターが勃発。裁きシステムが奪取されてしまう。理沙が裁きシステムによる自治領攻撃を宣告。樹華が第三のシステム、願いシステムの存在を明らかにする。拓也がその発動の鍵となる(これが「俺で最後に……」というPreviewのシーンです)。二つのシステムの力がぶつかりあう余波で、詩織が実体化。
 第三部。
 音々たちは日本自治領の奪取に成功していたが、月は理沙に乗っ取られていた。再び月と地球での戦争が起ころうとしている。一同は月に向かい、理沙を討つ作戦に出る。橘花・由香・華音の手引きで橘家の中枢、裁きシステム前に到着するが、その前に理沙と志帆が立ちはだかる。音々と理沙の一騎打ちは拮抗するが、桜花の力を借りた理沙に徐々に押されだす。隙を見て理沙が詩織を人質に取ったとき、詩織の下腹部が輝きだし、裁きシステムが暴走をはじめる。そしてその光の中から拓也が帰還。子供との絆が拓也を呼び戻したのだ。その余波で桜花の力が弱体化し、理沙ともども逃走。その最中、志帆が理沙に発砲し、桜花咲夜で桜花を刺す。桜花は消滅するが、理沙は瀕死の重傷を負いながらも逃走を図る。しかし、スラムの貧しい子供に射殺される。


 一応、もっと早いペースで書けていたなら、プロット2の展開になるはずでした。ああ、こっちの方が燃えたかなぁ?
 正式採用となった物語は、できるだけ音々を中心に据えて、三精人の中では橘花が中心に第二部が動くということを前提に組んだプロットです。テーマ的な部分に重きを置いたつもりのプロット。時間や自分のモチベーション、そして次作に取りかかりたいという欲求などと戦いながら、こういう結末を僕は選択しました。
 書きたかったことは書ききれたと思います。あとは、それが伝わるかどうか、ですね。

 いずれのプロットでも、エピローグ以降はまるっきし考えていませんでした。本編が終わった時、その時の終わらせ方で、自然と書き上げられる気がしていたので……

 「秘密にしておく」と明言している義体関連については、本編中にいくつかのヒントを散らばらせておいたつもりです。表舞台(サイト上)で「こうだ」と書くことはありませんが、「こうじゃないかな?」という予想がついた方で、回答を聞かねば納得できない方はメールでもください(笑) このメールが10通以上来たら、回答編のような番外エピソードを書くつもりです(笑)


 20代になってからずっと、この作品と共に歩んできたようなものです。
 「Moonshine」を通じて、いろんなものを得ました。書くのを辞めようかと思った事は、覚えている限りでは一度もなく、何かあってもこれだけは書き上げてやるという義務感だけは人一倍でした。「Moonlight」を読んでくれた人が「Moonshine」を読んで、どういう印象を受けたのかってのが凄く気になりますね。

 ただ正直なところ、もっとたくさんの人に読んでもらいたかったなって思っちゃいますね……。僕が予想している「Moonshine」を読んでくれた人の数は、僕が期待しているよりは、おそらくはずっと少なかったんじゃないかと思います。これが悔しいといえば悔しいかな……。せめて三桁(涙)
 具体的な読者数を割りだすのが怖くて、Moonshineのページ単体でのカウンタは、最後までつけませんでした(今後も多分つけません……)。
 でもまぁ、その辺りは僕の力不足ですね。本作の最大の欠点だと自分では思っている、「全体的に粗削り」というのは致命的な欠点だと思いますし……。他にも人を引きつける力が弱かったとか、宣伝努力をあまりしていないとか、色々と要因は浮かぶのですが。ま、言い訳しても始まらないか。未練がましいですね。最後なんだから前向きに!!(笑)
 ただ、もしあなたがこの作品を気に入られましたら、一人でも多くの人に、「ちょっとこんなのが有るよ」といった感じで、奨めてやってくださいませ。完結した今なら、この台詞を言ってもいいかな〜、と(汗)
 しかし実際のところ、数は問題でないと考える自分も確かにいるのです。この作品を書いていたからこそ出会えた友人というのは、幾千万の見知らぬ読者に勝ると思ってます。その中でも、妻と知りあったのもこの作品があったからこそですし、そういう意味ではこの上なく大事なものを手にすることができた果報者でもあるわけです。なんだ、だったら喜んでいいのか!


 最期に謝辞を。

 まずは、賛否様々な感想をくれた皆様方に。
 特定の名前をあげていくとキリがないので、こういう形ですがご容赦ください。毎回、感想をくれている何人かの人には、特に感謝しています。
 また、感想はいただけないまでも、フォームのボタンを押してくれた方々にも感謝しています。

 奈良高専時代からの友人の中でも、特にjea、ATS、F(仮名)の三名に。
 道は違えど僕よりずっと遠くまで歩き、活動を続けているjea。僕と同様にサイトを未だに運営し続けているATS。二人は僕にとっては友人でもありライバルでもあり、カンフル剤でもありました。それと「Moonshine」を書く上でのインスパイアを与えてくれたF。彼がいなければこの小説が書けたのかどうか。

 ごろ寝っとで知りあった、ヤスとY(仮名)に。
 君たちが「Moonlight」を評価してくれたからこそ、今の僕があります。長らく逢っていませんが、元気にしているでしょうか。
 ヤスは今もギターを弾いてるんだろうか。
 Yには借りっぱなしのゲームがあるんだよな。
 いつか、酒でも飲みましょう。

 かずひこ氏に。
 本名で書くかコッチで書くか悩んだけど、こっちで。一番読んでもらいたいと思っている世代から、お褒めの言葉をいただけたのはこの上なく嬉しかったです。いろんな意味で世話になりっぱなしで、本当にありがとう。頂いたもの、お借りしているもの、あと調達していただいたもの……等々、とても創作活動の刺激になるものばかりです。

 竹原湊さんに。
 Episode 02〜03くらいを書くにあたっての、一番の原動力は間違いなくあなたでした。もう取り返しはつかないのかもしれないけど、東京時代の僕にとって、あなたは一番大事な友人でした。あなたに励まされたから、僕は今、こうして生きているんだと思います。今は自分の未熟さなど色々な事をを後悔するばかりですが、いつかまたメールでも貰えたら、と今でも思っています。

 度会達也さんと度会サウスさんに。
 QSWでは書くのが遅かったりその他にも色々、本当にご迷惑をおかけしました。第二作を作ることになったとき、「Hashの書く話ならなんでもいいよ」と言われたのは、とても支えになりました。素敵なイラストをいただいたのは、今でも僕の宝物です。今でも僕は、二人を心の兄姉だと思っています。

 妻であり相方でもある鷹月いづみに。
 叱咤も激励も、一番たくさんくれたのはあなたです。初めて逢ったときの「絶対に橋本さんの時代が来る!」とあなたが言った言葉はものすごく印象的でした。それを実現できるかは分かりませんが、今後も頑張るつもりです。特に結婚してからは、誤字脱字の校正やら内容の指摘やら、ほとんど担当編集ばりの活躍で支えてくれたことには頭が上がりません。すぐに落ち込む僕をさらに叩き落としたり、叩き落とす要因になったり、癒してくれたり、慰めてくれたり、手間をかけたりかけられたりと、まぁとにかく今後ともよろしく。次はあなたの番ですぜ?

 そして全ての読者の方々に。

 ありがとうございました。
 次作も読んでいただければ、この上なく幸せに思います。


2002年7月24日 橋本竜也
(7月26日、一部加筆)


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