Moonshine <Pray and Wish.>
Episode 04

 結局、東京で書いたのは三章だけでした。
 で、今は大阪で四章を書いてるんですが、僕の書きたい事というのは、たぶんこの四章で全て書ききると思うんですよ。Moonshineのテーマ的な部分というか。
 偶然とご都合主義は違う、と思います。Moonshineはご都合主義を極力排した作品です。むしろ、ご都合主義や悪い意味でのお約束と言うものに対するアンチテーゼのつもりです。
 僕はこの作品を、なんの変哲もないスタンダードな作品。よく言えば王道、悪く言えばありきたりの作品だと思っていますし、そう言い続けています。ありふれている事は悪ではなく、それをどう形にするかで作品の評価は変わると思ってます。どんなに斬新な素材でも、それを形にすることが出来なければどうしようもないと。
 ちょっとズレました。ありふれた作品ではあります。お約束の展開だって待ち受けています。けど、それだけじゃない。
 全てを否定するわけじゃない。けれど肯定もしない。全てが理にかなっているわけでもなく、不条理なことばかりでもない。どんな可能性も否定しない。
 ラッキーだってある。偶然だってある。けど、不運もあって、必然も有る。ほらね、スタンダードでしょ? どれだって、ごく普通にあり得ることです。
 そうして起こった幸運や偶然はご都合主義と言うんでしょうか? 僕は言わないと思います。
 そうして、期待に沿ったり、裏切ったりもします。そうやってこそ、初めて物語は生きてくると思うんですよ。そして、血の通った一つの世界になる。
 そんな全てを、Episode04に込めます。叩き込みます。そして、これまでで一番熱い話にするために、持てる全てをそそぎ込みます。
 でも、ここで終わるわけじゃ無いんですよね。書きたいことを書いたから放り出すような事はしません。広げた風呂敷と、作品中へ産み出した子供達への責任は必ずとります。


1999/02/19 橋本竜也


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