東京魔人學園剣風帖
シャウト!デザインワークス/アスミックエース
PS

 カルト的ながら熱狂的なファンを持つADV+S・RPGです。ひっそりと発売され、口コミでその評判が広まった……みたいなんですが、僕が手を付けた頃には、すでにその評判は広がるべきところには広がりきっていた時期なので、その過程については詳しくは知りません(汗) ただ、電撃PSの編集者レビューでの点数が妙に高かったのを覚えています。

 なんと言うか……。何がどう面白いんだか、よく判らないんですよ。これは僕だけでなく、友人のh氏も同様に言っています。
 S・RPG部分は、はっきり言って難易度が低すぎ。本編とは別に訓練用のステージがあるのですが、これを何度かプレイすれば本編は楽勝。しなくても難しくはないと思う。
 ADV部分はシナリオに関して言えば、さほど新鮮味はなし。いわゆる伝奇もの(陰陽道あたりをベースにしているけど、割とごった煮)+学園もの。取り合わせは珍しいけど、そうそう目新らしくもない。時折ご都合主義やら偶然が気になるけど、伝奇ものなんで「運命」と言ってしまえばそれで片付く(汗)
 システム面は面白いんです。ノベル形式に近いのだけど、二択・三択の選択肢は少ない。感情を入力するシステムなんです。ある問いかけに対し、主人公(自分)の「喜/同(同意)/友/愛/怒/悲/冷/悩/無視」に分類された感情を相手に伝えるというもの。ただ、主人公のセリフは用意されていないんですけどね。
 こんな風にADV部で「感情」をゲームシステムに組み込んでいるのですが、これは戦闘時にも影響し、主人公に対し仲間がどういう感情を抱いているのかでもパラメータに変動があったりします(で、一概に好かれていればいいというものでもない)。ただ、もともと戦闘パートの難易度はさっきも書いたように低いのですが……

 と、こういう風に書くと、なんだかつまらなさそうなんですが、これがどういう訳だか面白いんですよ。ついついプレイしてしまうし、やめづらい。テンポの良さってのは有るんだけど、それだけではないように思います。

 で、色々考えた末に思ったんだけど、これは気恥ずかしさを楽しむゲームなのかなぁ? 舞台は東京、主人公は高校生、仲間の多くも同年代。熱い友情と、それに伴うクサい台詞多数。とにかく友情!!
 美人生徒会長、伊達男(でも成績×)、体育会系真面目男(元不良)、男まさりの元気女、そして無口な主人公。普段は普通の友達、放課後は正体不明の敵と戦う戦友。この五人を中心に、その他十数名の仲間。そして友情!!
 いわゆる学園ものコメディであり、「前世よりの運命に導かれし者達」系でもあり……って、それだけでもかなり気恥ずかしいと思うんですよ。が、それが当り前すぎて違和感がない。だって友情!!
 ところがですね。はっきり言って、男同士で「友情!!友情!!」ノリのかなりクサい台詞が出てきた日には、キャラクタ二人を「×」の字で組み合わせても不思議じゃないくらいです(…おい!) これで僕が女性だったら、男と男の友情とか愛情なんてネタで盛り上がるかもしれないんですが、あいにく僕には興味のない世界なんでパス。
 だがしかし、男二人でクリスマスを過ごすイベントが用意されてたり(もちろん、女性と過ごすイベントを選択するのも可。つーか、普通はそうするだろう。僕もそうした)、後に発売されたスペシャルディスクでは全ての仲間とのEDを(もちろん男含む)収録するなど、その手の世界が好きな方なら大ハマリしそうな感じだったりします。
 まぁ、そういう男×男な世界が好きな方なら判るんですが、僕やh氏みたいにそういうのが好きではない人種にも訴える魅力ってのは、さっきも書いたように気恥ずかしさを楽しむ雰囲気なんじゃないのかなー、と。
 穿った見方をしなければ(もしくは狙っているであろうポイントを無視すれば)、熱い友情を感じさせる台詞は「遠回しな愛の言葉」じゃなく、単に「熱い友情のこもった台詞」な訳で。で、プレイしているうちに、赤面するほどの気恥ずかしさにも慣れて来る……といった感じかなぁ? 人物同士の友情を、ここまで前面に押し出した作品もそうそう無いと思います。また登場人物も、これまでによくあるパターンの性格の者が多いんだけども、それはそれとしてキャラが立ってるし。
 まぁ決して万人向けの作品とは言い難いんですが(絵だけでも毛嫌いする人は居ると思う)、ツボにハマると抜け出せないかもしれません。そういう魅力はあるゲームです。


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