英雄伝説3 白き魔女
日本ファルコム
PC98

 英雄伝説シリーズといえば、PCから発展したRPGの代名詞とも言えるシリーズです。しかし、これをシリーズと呼ぶならば、以下のソフトを挙げていかねばならないでしょう。
1:ドラゴンスレイヤー(2もあったかも?)
2:ザナドゥ(←ドラスレ2があるとすれば、ここ。ザナドゥは3になる)
3:ザナドゥ2(←「ザナドゥ2」が存在しないのなら、ここにはロマンシアが相当する。イースという説も?)
外伝:ロマンシア(ザナドゥ2が存在するなら、これは3ではなく「外伝」に相当するはず)
4:ドラゴンスレイヤー4(ドラスレファミリーという副題もあったような。MSX、FC(namcoから発売された)等で発売されたので昔からのゲーマーなら知ってる人も多いかと)
5:ドラゴンスレイヤー5 英雄伝説(「ドラゴンスレイヤー 英雄伝説」かも?)
6:英雄伝説2(「ドラゴンスレイヤー6 英雄伝説2」 or 「英雄伝説2」だったかも?)
7(?) :ロードモナーク
 これが何かと言うと、「ドラゴンスレイヤー」シリーズの系譜なんです。もともと、このシリーズの最新作として英雄伝説が作成されました。一説によれば、「ロードモナーク」が7作目にあたるという話もききますがこの辺りはあやふやです。
 ともあれ、英雄伝説2(もしくは英雄伝説)までは、ドラゴンスレイヤーという名を冠したシリーズだったのです。それが「英雄伝説」というシリーズになり、ドラスレの文字が外れたのが、僕の記憶ではこの3からだったと思います。そして、99年末に発表された最新作「英雄伝説5 海の檻歌」に至るまでの、ガガーブ三部作と呼ばれるシリーズの始まりでもありました。

 さて、時系列で言えばガガーブ三部作の中で最も後期にあたる今作。戦闘のほとんど行われないRPG、という異色作です。ザコ戦闘を極力排すことで、キャラクタを操作してマップを移動し、数々の街を巡っていろんな事件や人々に出会い、戦うべき敵とは戦う……という、物語を楽しむことに焦点を絞ろうというのがその狙いだったようです。森や山を抜けて次の街へ行くという、その過程自体が冒険だという事を再認識できるシステムだったと思います。
 物語は主人公である少年と少女が、故郷の村に伝わる成人の儀式として、世界の各地に点在する5つの神殿を回る、礼の旅を中心として展開します。旅していく先々で耳にする「白き魔女」の伝説。それは決して遠い昔の事ではなく、ほんの一昔前に実在した人物の言い伝え。彼女の足跡を追うかのように二人の巡礼の旅は続けられ……
 と、こんな調子です。さすがに巡礼だけで話が終わると盛り上がりも何もあったもんじゃないので、次第に話が大きくなってはいくのですが、全体を通して感じられる優しさが、とても暖かな物語として体験させてくれます。終盤は泣けます。
 唯一の難点は、ザコ戦がほとんど行われない割には戦闘の難度が高いこと。戦闘シーンは、AIで進行するタクティカル方式になるのですが、これが難しかった。命令はシンプルなものなんですが、いかんせんこっちが弱い弱い……。レベルを上げるにも、ザコ敵はほとんど登場しないのでそれは困難。後に、ゲームバランスを修正したバージョンが再発売されたり(←たしか出てたと思う)、家庭用機器に移植された分でも戦闘まわりは大幅に改良されていたようですが、僕がプレイしたオリジナル版はホントきつかった……。どこまでも優しい。そんな物語だけに、戦闘のきつさは、しみじみ残念です。実は僕、途中からは人にはあまり言いづらい方法でプレイしました(汗)
 このシリーズの最新作は、常にPCで発表されているのも特色の一つかもしれません。たしかにWindows9Xの普及でPCユーザーは増えましたが、それでもコンシューマー市場での販売数には適わないでしょう。事実、英雄伝説3も4もコンシューマー機に移植されています。が、それでも最新作は必ずPCで!というあたり、この市場へのこだわりを感じさせてくれるファルコムというソフトハウスは素晴しいと思います。これまでのシリーズを支えてきたPCユーザーの事を忘れていないように感じられるんですよ。それに、移植された作品のの多くは、移植版よりもPC版の方が出来がよかったりしますし。
 ガガーブ三部作をまとめたバリューパックみたいなのを出してくれないかなぁ……。


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