To Heart
Leaf (Aquaplus)

PC (18禁) / PS

 恋して死んじゃう某ドラマとは関係無し。(既に風化ネタ?)
 コアなファンを獲得し、口コミでその評判が広まった「雫」。その流れを受け継いで高い評価を得た「痕」。この二作のビジュアルノベルの後を受けて登場した「To Heart」(以下TH)。それまでの暗いイメージから一転したそのビジュアルに、当初は内容を危ぶむ声さえあったほど。何度かの発売延期の後に登場したTHはそんな声をはね除けて高い評価を得ただけでなく、多数の関連グッズやPS版などが登場するに至りました。
 という前置きはともかくとして、ここからは個人的な意見を。
 THはファンタジー作品である。
 実際には「学園もの」というジャンルに括られるのだろうけども、ここでいう学園ものとは、いわゆる「学校を舞台にした青春群像物語」とはニュアンスが違うのではないでしょうか。そのニュアンスを内包しつつも、「うる星やつら」「ねらわれた学園」などに代表される「学校という誰でも知っている舞台を利用することで、非日常的な出来事がおきたり奇想天外な設定があったとしても、それを身近なものとして感じさせる手法をとった空想物語」とでも仮定していいと思います。他作で最近のものだと「東京魔人学園剣風帖」や「女神異聞録ペルソナ」等も、このジャンルに含んでもいいと思います。
 というわけで、THはファンタジーである。と、僕は思っている訳です。超能力やら魔法やらロボットが出てこようが、学校の中で弓矢を乱射する謎の外国人が居ようが、「学園ものだから、まぁいいじゃん」みたいな空気。それを最大限に活かした作品だったんじゃないでしょうか。
 さて内容なんですが、キャラクタごとのシナリオがそれぞれに個性的である分、好みが激しく出てしまうのが残念なところです。これはマルチシナリオのゲームではどうしても生じてしまうことで仕方ないのですが……。その逆路線だと似たような話の集合体にしかならないし、万人受けするシナリオばかりってのは最悪だし。ただ、主人公の性格がシナリオによって微妙に違うような気がするのは僕だけでしょうか? ちなみに、個人的には先輩・あかり・マルチ・委員長のシナリオは好きだけども、志保・葵・琴音・レミィ・貧乏のシナリオは好きになれない。貧乏のPS版はどうなんだろ?
 PS版は凄いですね。18禁作品をコンシューマーへ移植するという事において、これ以上のものはないという見事な移植でした。前に書いたEVEとは大違い。単なる移植ではなく、オリジナルスタッフの手により、より深い内容へとグレードアップさせられた作品だと言えるでしょう。
 グラフィックパターンの追加、シナリオの掘り下げ、演出面の強化。キャラクタの声については人物ごとにON/OFFが設定できたり、セーブについてもPSのゲームにありがちな1ブロック=1セーブではなく、1ブロックで多数のセーブができるなど、ユーザーの事を考えた設計思想は素晴しい!!


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