GRAN TURISMO
SCE
PS

 1997年末に発表されたドライビングシミュレータ。レーシングゲームなのですが、あえてこう呼びたい。
 車の動きをプログラムであらかじめ設定しておくのではなく、車重や重量バランス、エンジン出力、各種パーツのセッティングなど、車とその性能を構成する要素をシミュレートし、車の動きそのものをゲーム上で再現しているのが、この作品の最大の特徴でしょう。
 例えばマシンの駆動方式。FF(エンジンが車のフロントにあり、駆動輪もフロント=前輪)、FR(エンジンが車のフロントにあり、駆動輪はリア=後輪)、MR(エンジンが車の中央(MRの車は基本的に2シーターであり、エンジンはシートの後ろにある)にあり、駆動輪はリア)、4WD(四輪駆動。エンジンはフロント)と言った駆動方式の違いにより、車の挙動はまったく違ってきます。乱暴に言えば、FRやMRはコーナーでズルズルと滑るのでドリフトしやすいがスピンもしやすい、FFは滑りにくい、4WDは滑ってても安定しやすい……など。したがって、コーナリングの際の操作は、それぞれの駆動方式によって大きく変わってきます。(例えば、滑らないFFでドリフト走行なんて事はしない方がいいとか、コーナーが苦手な人だったらスピンしにくいFFや4WDがいいだとか)
 また、荷重移動についても考慮しなければいけません。例えば電車に乗っていて、急ブレーキが掛けると身体が進行方向に向かってつんのめります。逆に発車するときは身体が後ろに倒れそうになるでしょう。これによって車の前後の重量配分が変化するのを、コーナリング時に考慮。ハンドルを切ったときに、それに対応して動くのは前輪というのは誰だって知っていると思いますが、この前輪にかかる荷重がまったく無し、むしろマイナス(つまり前輪が浮いている状態)だとどんなにハンドルを切っても車は曲がりません。つまり、フロントへ荷重がかかっているほうが車は曲がりやすいという事になります(たぶん)。まぁ、かかり過ぎると今度は曲がらなくなるんですが……
 あ、言っときますけど、僕はあんまり詳しくないですよ(笑) 鵜呑みにしちゃいやーん。

 チューニングを行うパーツも多々用意されていますが、何でもかんでもつければ速くなるというものでもなく、このパーツはどういう働きをするのかという事をちゃんと考えた上で装着し、セッティングしないと使い物になりません。例えばSpring Rateの設定にしても、数値を上げると(堅くする)ハンドルの利きはよくなるけども縁石などで跳ねやすくなる、下げると(柔らかくする)ハンドルの利きが悪くなるけど悪路面に強くなる……(靴の裏にふにゃふにゃで分厚いスポンジを付けて歩くと、普通の道じゃ歩きづらいけども、凸凹のついた床の上を歩いても痛くないっしょ? そんな感じか?)など、それぞれメリット・デメリットがあり、一概にどうすれば良いというものではありません。自分の運転スタイルを考えた上で、何をどうすれば良いのかを考えて設定する必要があります。

 とは言え。最初からいきなりなんでもかんでも設定できる訳じゃないので、そんなに難しく考えなくてもいいんですけどね(笑) 最初はただのノーマル車。レースに出てお金を貯めて、ちょっとずつ改造パーツを購入していくんで、その都度覚えていけばいいだけです。大丈夫。当時は免許証を持ってなくて、FFとFRの違いも判らなかった僕でさえなんとかなりました(笑) 免許を取ろうと思ったのも、このゲームがきっかけみたいなモンです。
 車の改造に関してもそうですが、車の運転についても一考されています。レースは何種類か用意されていて、出る車の性能によってクラス付けされているのですが、上位クラス(もちろん、賞金も多い)のレースに出るためにはちゃんと資格が必要なのです。
 B級ライセンス→A級ライセンス→国際A級ライセンスとランクアップしていくのですが、例えばB級の一番最初の試験。「スタートから発進して直進。1000m先のゴール地点で停車。制限時間は●秒」と言った感じで、これはアクセルとブレーキだけでクリア出来ます。次の試験も同じ内容なのですが、車のパワーが上がっているために、ブレーキする地点は少し手前で踏まないといけません。その次は、コースの一部分のある地点からある地点までを、何秒以内で走れ。というもの。途中には緩いカーブが一つあるだけなのですが、これがまた難しい……。
 そうやって、ある程度の技術を身につけて初めて、ちゃんとしたレースに参加出来るようになっていくこの過程がまた楽しい。いきなり何でも出来るというのは確かに自由度満点なのかもしれませんが、こういう風にきちんと段階を踏まない事には、その自由度がかえって仇になりかねません。そういう意味で、このゲームは親切だなーと思うんですよ。

 あと、リプレイモードも凄いです。カメラワークも凝ってるし、ゲーム中よりも描画が綺麗になっています(映り込みなどを考慮した環境マッピングのおかげ)。このリプレイだけでも一見の価値あり! 自分の運転ってこんなにかっこいいんだーー!! と勘違い出来ること請け合いです(笑)

 で、このゲームで慣れた後、「リッジ●ーサー●ボリューション」とかやったりすると、車の動きの不自然さに大爆笑出来ます(大爆笑)

 ちなみに僕の愛車は、日米対決で優勝すると貰える4WD仕様のFTOです。若干後輪が滑りやすいけども、基本的には立ち上がりの加速を重視したセッティングです。(コーナリングミスのリカバリに強い) ドリフトが下手なので(泣)、四輪スライドやパワースライドを多用しがちです。でもあんまり速くないかも(泣)


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