ALSHARK
RIGHT STUFF
PC98, X68k, MD, PC-Eng.

 アルシャーク。確か1989〜90年くらいに、PC98版が出たように覚えてます。シナリオが飯淳氏、キャラデザが木村明宏氏、音楽が佐藤天平氏と、エメラルドドラゴンの流れを汲むスタッフによって作られた、スペースオペラ風のRPGです。
 なにぶん昔のゲームですし、コンシューマ移植版の評価は軒並み悪かったため、あまり一般には知られてないのかもしれません。ですが、僕の中ではPSの「ワイルドアームズ」が登場するまでは、紛れもなくNo.1ゲームだった作品です。PC98版にしてもバグは有ったわスクロールは重いわ(i286-12MHz)で、つめの甘さはかなり残っていました。

 物語は、主人公の住む惑星に隕石が落下する所から始まります。調査に行った父親の後を追って、主人公は幼なじみと落下現場へと向かう……って感じだったと思います。それから主人公の父親は殺害され、母親は失踪。幼なじみの方の父親は悪人へと豹変。父親の友人の力を借りて、幼なじみの父親を追跡し始める。やがて彼らは帝国軍と戦うことになり(舞台には三つの勢力がある。帝国/連邦/王国。固有名詞は忘れました)また、その背後にいる存在について知るようになる。
 まぁ、ありふれた物語ではあると思うんです。シナリオ的にも、今から思い出してみるとかなり不整合が有ったりします。物語の最後は尻切れトンボ的に終わり、続編を未だに待ち続けているのですが、元スタッフのコメントによると彼らに続編を作る気はないそうです。

 じゃあ、何が魅力なんだと言えば「宇宙を駆けめぐる冒険の旅。敵は強大な帝国軍。こちらは僅か五人」っていうこのシチュエーションなんじゃないかな、って思うんです。やり応えもたっぷりだったし。不整合はあるものの、見せ方を心得たイベントとかもいいし。あと、オープニングデモが燃える!!とか。ゲームそのものはバランスにやや難があるものの、戦闘シーンは良くできてたと思います。
 そして何より特筆すべきは佐藤天平氏による音楽でしょう。サウンドトラックはパソコン版のものとメガCD版のものが出てますが、どちらにもそれぞれ特徴的かつ攻撃的なサウンドが収録されています。特にメガCD版のオープニングなんて、今聞いてももの凄くかっこいい音なんです。ハイハットとギターの組み合わせに痺れまくったあの感覚は、この先当分味わえることはないでしょうね。

 よくも悪くもパソコンゲームらしいゲームでした。エメラルドドラゴンへの僕の評価はあまり高いものではないのですが、その流れを汲んだ「アルシャーク」や「ヴェインドリーム(1&2 : GLODIA)」と言った作品は、PC98の一般向けRPGとしては最後の名作群と呼んでもよいものだと思います。他には「サバッシュ2(POPCOM SOFT / GLODIA)」や「幻影都市(マイクロキャビン)」なんかも好きな作品です。決して万人向けな作りとは言えず、荒削りな中にも何か光るものが有ったあの頃のパソコン用RPG。今となってはパソコンゲームと言えば18禁のWIN用Hゲームがメインと思われているみたいなんですが、過去を振り返ってみると「イース」「ドラゴンスレイヤー」「ブランディッシュ」に代表される日本ファルコムの作品など、確かにパソコンから生まれた名作というのは数多く存在していたんです。別にHゲームを否定するつもりはないんですが(というより肯定派)そういう時代があったと言うことを少しでも覚えていて欲しいなと思います。


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