割と影響を受けやすいタチなのですが、それらの中でも一際強く影響を受けたものを紹介しようと思います。
一時の「好き」じゃなくて、何年経っても「好き」だと、現時点で言えるものの紹介、っていう言い方も出来ますね。「精霊使い」
角川ニュータイプ100%コミックスから発刊された、岡崎武士氏の描かれたコミックです。全四巻。
その緻密な世界描写と魅力ある登場人物群、それら全てが非常に高い完成度を誇っていて、一部で「ハイエンド系」と称されるコミック作品群の最高峰に位置づけられるべき作品でした。
でした、と過去形で言っているのは、この作品が未完のままで終了してしまったからなんです。結末は語られてはいるのですが、クライマックスを一気にすっ飛ばした形での結末となっており、消化不良の感は否めません。理由については、作者の岡崎氏の健康状態によるところが大きいそうで、終盤の執筆は入退院を繰り返しながらという、非常に壮絶なものだったそうです。現在は前述の理由から漫画家としては引退、イラストレータとして活躍されています。
が、それでもこの作品が、そこら辺のものとはひと味もふた味も違う、非常に優れた作品であるという事は断言できます。
独特の世界感がそのまま物語に直結しているので、僕の口からその物語について語る事は避けておきます。僕は基本的には無宗教主義者なんですが、この作品で語られている「全ての物質に感情がある」という思想にはかなり影響受けてます。あと、この作品中での人物の動きというのは、実にかっこよく描かれてるんです。僕が小説を書く上で情景をイメージするときの、(表現方法は違うけれども)目標の一つでもあります。
一応、第一部完って体裁なので、いつか第二部が発表されることを祈るばかりです。もちろん、身体の方をしっかりと治した上で、ですけどね。「CAROL」
元TMNのギタリスト、木根尚登氏の書いた小説です。当時TM NETWORKだった彼らの同名のアルバムの小説版です。
このアルバムというのが、組曲というかなんというか、架空のある物語をモチーフにしたアルバムでして、それをさらに小説化したという、ちょっと複雑な課程で生まれました
それまでの僕は、音楽は音楽家が、小説は小説家が生み出すものだと思っていました。物語を空想することはあっても、それを形にすることは「自分にはできない。だって僕は小説家じゃないから」と思っていました。が、本来はミュージシャンである筈の木根氏の書いたこの小説は、決してそこらの小説家の書く物に負けない、すごく魅力的な話だったんです。
その後も木根氏は「ユンカース・カム・ヒア」など、数多くの小説を著していくんですが、それぞれが木根氏っぽいというか、彼の音楽世界を彷彿させる、暖かさを感じさせる内容になっています。
そうなんだよ、やれば出来るんだよな、って思い、僕は小説を書き始めることになりました。