哀愁

 女として最も恥ずかしい格好をさせられ浣腸を施されようとしているおよう。その恐怖に怯え、苦悩するおように真理子は更に難題を突きつけるのだった。

 「さあ、旦那さんに頼むのよ。浣腸して下さいって言うのよ」

 意地悪い顔をして頬を突付いた真理子に一瞬、射るような視線を放ったおようだったが、すぐに目を閉ざし、込み上がってくる涙を飲み込むのだった。

 「お、お願い。こんな酷い事は許して・・・・」

 再び目を開いたおようが気弱な瞳で訴えると真理子はその火照った耳朶を引っ張る。

 「何を言ってるのよ。結城屋さんか楽しみにしてるしゃない。菊代が浣腸されちゃうわよ」

 はかない望みを打ち砕かれたおようは涙を堪えながら、岩村の脂ぎった顔に視線を向け、唇を震わすのであった。

 「お、おように、か、浣腸して下さい」

 いったとたん、おようは我が身の惨めさに声を震わせ泣き始める。しかし、居並ぶ悪魔からはどっと笑いがこぼれる。まさに地獄の釜の中に放り込まれたような思いをおようは味わっていた。

 おようのあからさまに晒された下半身の前に移動した岩村は目の前でその時を待つおようの秘密のつぼみに視線を注ぎ、目を細める。これが美人女将として評判だった白敷屋のおようのものだと岩村は改めて実感すると笑いを噛み殺すのだった。岩村は洋次郎がこのことを知ったらどんな顔をするだろうかなどと想像しながら、その蕾に手を触れさせてゆく。

 「あっ、嫌」

 岩村の指先がその部分に触れてくるとおようは吊り上げられた双臀を揺すって、小さな悲鳴を放った。しかし、岩村は指先に神経を集中させ、執拗にその部分の凝りを揉み解すような愛撫を続けている。

 最初はその感触に身震いするほどの不快感しか感じなかったおようであったが愛撫を受けるうちに身体の奥底から込みあがってる快感の兆しを感じ、慌て始める。

 「も、もう、悪戯はよしておくんなさい」

 身体を揺すって悲痛な声を上げたおようを目にし、岩村はほくそえんだ。鉄火肌の女を責める時はここを攻撃するのが効果的だと人づてに聞いた岩村はおようが思い通りの反応を見せ始めたことに満足しているのだ。

 「まあ、おようさん。感じてるのね・・・。嫌らしいわよ」

 岩村の攻撃目標の上方に位置する、おようの源が潤み始めたのを目にした真理子は素っ頓狂な声を上げ、それに手を差し伸べ、証拠を確認する。真理子の指先を感じたおようは辛そうに眉を寄せ、弱々しく頭を振るだけであった。

 「さて、これだけ。可愛がってやれば十分だろう」

 岩村の指先の攻撃から解放されたおようはほっと息を吐いた。しかし、いよいよ、おぞましい浣腸を受けるのだと思うとおようの胸はシクシクと痛むのであった。

 しかし、典子に伴われ、菊代が自分に近づいてくるのに気が付いたおようは引きつった声を上げる。

 「あっ、お菊ちゃんを連れてこないで」

 「何を言ってるのさ。おようさんに浣腸をする一番手はお菊なのさ」

 狼狽を示すおようの乳房を揺すって真理子は笑い声を上げる。常軌を逸した悪魔たちの発想におようは全身を貫く悪寒を感じ、唇を震わせる。

 「や、止めて。馬鹿なことはしないで・・・」

 「何さ。二人はとても仲が良かったんだろう?仲良しの義妹に浣腸してもらえるんだよ。少しは喜んだらどうなのさ」

 真理子はおようの乳房をピタピタ叩いて笑い転げている。おようが取り乱せば取り乱すほど真理子は愉快なのである。

 おようの羞恥と正対させられた菊代はとてもそれを正視できず顔を背けてしまう。しかし、片意地悪い顔をした典子はそれを許さず菊代の顎を掴んで無理矢理それに目を向けさせる。

 「さあ、おようさんをちゃんと見るんだよ。お前さんの代わりに浣腸責めに遭うだからね」

 典子の言葉を聞いて菊代の目からは大粒の涙が溢れ出す。自分の身代わりになって自ら矢面に立ち地獄の責苦に遭うおよう。そんな惨めな姿を目の前にして菊代はおように対する済まなさで一杯であった。

 両腕を拘束されていた縄が解かれると菊代は本能的に胸を隠した。しかし、岩村は菊代の目の前に溶液の詰った浣腸器を突き付けるのであった。

 「さあ、これでおように浣腸してやるんだ」

 おように浣腸しろと聞かされた菊代は頬を震わせ、目の前の浣腸器を恐ろしいものでも見るような目つきで見詰めるのであった。

 「で、出来ません。許して・・・」

 菊代は悲鳴じみた声を上げるとその場から逃れるように後ずさり始める。しかし、典子はそれを許さず。ふたたび、おようの目前に押し戻した。

 「お前が出来ないようじゃ。おようさんの努力は無駄になるよ。お前が浣腸されるんだよ」

 典子の恫喝ににも似た声を聞いても菊代は激しく頭を振り、それを拒否し続ける。

 「仕方ないね。二人並べて、浣腸してやるよ」

 菊代の態度に業を煮やした典子が菊代の細腕を捻じ曲げようとした時、おようの凛とした声が響いた。

 「お菊ちゃん。構わないから、浣腸して頂戴」

 おようの声に泣き濡れた顔を上げた菊代はその心情を思うと矢も立ても堪らず、その豊かな胸に顔を埋め、激しく泣きく崩れる。

 「私の事は気にしなくて良いの・・・いつか、きっと助け出される日が来るから・・・それを信じて生きてゆきましょう・・・」

 おようは半分は自分に言い聞かせるようにして涙に咽び、菊代の耳元にそんな言葉を囁くのである。それを聞いた菊代は更におようのことがたまらなくいとおしくなり、ぴったりと口を合わせると激しく舌を吸い上げる。菊代の突然の行動に戸惑ったおようであったが菊代のすささんだ気持ちを落ち着けるために自らも舌を絡ませ、激しく吸い上げるのだった。

 奴隷たちの悲壮な抱擁を呆気に取られて見ていた真理子と典子であったが二人の仲が睦まじく見えると腹が立ってきたのだろう。真理子は菊代の肩を掴み、二人を引き離した。

 「いい加減にしてよ。あんたの仕事はおように浣腸することだよ」

 おようは立ち上がった菊代に対して優しい眼差しを向け、小さく口を開いた。

 「さあ、浣腸してくれるわね?」

 おようの言葉に頷いた菊代は真理子に押され、再び元の位置に腰を据えさせられる。おようの余りにも優しく、そして神々しくも映る態度に菊代は心を打たれ、生きて行く勇気を貰ったような気分になっていた。しかし、目の前にあるおようの羞恥に悪魔の矛先を刺し入れ、自ら手を下さなければならない現実に菊代の心は慄くのであった。

 「さあ、これをあそこに差し込んでポンプを押すだけだ」

 岩村は酔ったような表情になって菊代に浣腸器を渡すと事の成り行きを見守るのであった。

浣腸責め

 遂に浣腸を施すことを決意した菊代は膝を進めるとおようの顔を見た。

 「おようさん・・・」

 菊代が涙に咽び泣がら声を掛けたおようは目を閉じたまま軽く頷いて見せる。おようの達観し切った態度を目にした菊代は涙を流しながら、できるだけ優しく浣腸器の先端を含ませて行く。侵入してきた異物に顔をしかめたおようはその不快感を一刻も早く終わらせようと口を開いた。

 「は、早く、済ませて」

 しかし、菊代はポンプを押せなかった。おように施す地獄の洗礼の引き金をどうしても引けないのだ。

 「何をしてるのよ。早くしてって、おようさんが頼んでるじゃない」

 典子に肩を小突かれた菊代は再び、おようの表情を窺った。目を開いたおようも菊代の瞳を見詰める。優しげなそして寂しげな目をおようの瞳に菊代は再び、涙が溢れてきた。再び、勇気を貰った菊代は自分に無残な心をけしかけると目を閉じたまま、ポンプを押し込んだ。

 その瞬間、おようは枕に載せられた双臀をなよなよと揺らし、吊り上げられた両足に震えは伝わるのであった。

 「ねえ、おようさん。浣腸されるのはどういう気持ちなの?黙って無いで何とか言いいなさいよ」

 鉄火肌でキップも良い、おようが浣腸の洗礼を受けるのが愉快な真理子は縄に締め上げられた乳房を揺すって揶揄している。おようは血が出るほど唇を噛み締めたまま何の反応も示さず、地獄の責めに耐えているのであった。

 全ての溶液を体内に送り込んだ菊代は浣腸器を引き抜くと手で顔を覆って泣き始めた。遂におようを自らの手で地獄に突き落とした罪悪感に苛まれ、菊代は涙が止まらないのだ。

 「さあ、ご苦労さん。おようさんもあなたに浣腸されて幸せの筈よ」

 典子は泣きじゃくる菊代を立ち上がらせると喜太郎も手伝って再び後手縛りに仕上げるのであった。

 菊代が後ろに退くと岩村がおようの羞恥の前に座り込んだ。再び、溶液を吸い込んだ浣腸器を手にした岩村は濡れて息づくその蕾に狙いを定めると一気に刺し貫く。

 「ああ、嫌・・・」

 おようは再び、その部分に先端が差し込まれたことに悲痛な声をあげ、疲れきった身体を揺さぶり、何とかそれを逸らそうと身を揉むのであった。しかし、不敵な笑みを浮かべた岩村はおようの太腿を抱え込み身動きを封じるとゆっくりとポンプを押し始める。

 「ふふふ、いい気味ね。また、浣腸されるなんて」

 真理子は二本目の浣腸に苦悩するおようを見て薄笑いを浮かべると自分も見ているだけじゃつまらないとばかりに浣腸器を突き立てられている上方に位置する官能の花園に手を差し伸べ、優しく愛撫を開始する。

 菊座に軽い痺れを感じたまま、愛撫を受けるおようは自分でも驚くほどにたちまち燃えがってきた官能に身を焼き、火照った頬を右に左に卓に押し付けては悶えるのであった。

 「ああ、じれったい、じれったいわ」

 真理子が手を休め、再び、溶液が僅かに注ぎ込まれるとおようは燃え盛った身体に水を掛けられるような不快感感じ、思わず口走ってしまう。それは悪魔たちの嘲笑を誘い、翻弄の手をますます強めてゆくことになる。

 「これを使っておやりよ。おようさんも大喜びさ」

 お常が差し出した筒具を手に取った真理子が意地悪い笑みを浮かべながらそれを差し入れるとおようは待ちかねたように身体を揺すり始める。

 「あらあら、はしたないわよ。おようさん」

 乳房を揉み上げる典子にまで笑われたおようだったがとにかく食い締めたい。そんな切羽詰った気持ちになっているおようの耳には入らなかった。その間にも溶液は注ぎ込まれ、遂におようは二本目の浣腸を終えていた。

 「ふふふ、気をやらしてあげるね。思い切り、食い締めていいからね」

 真理子が筒具を激しく揺り動かすとおようは熱い涙を滴らせ、喘ぎ声を洩らし、頂点へと一気に駆け上ってゆく。

 「あー、嫌・・・」

 岩村があくことなく浣腸器を宛がったのに気が付いたおようは悲鳴を放ち、それが引き金になったように頂点を極めてしまう。

 悪魔たちの哄笑を浴びながら、その眼前に全ての秘密を明らかにしてしまったおようは吊られた両足を痙攣させている。その間にも岩村はポンプを断続的に押し続け、溶液をおようの体内に送り込んでいる。

 おようの筋肉の緊張が解け、がっくりと顔を伏せると真理子は筒具を引き抜き、岩村も浣腸を終えた。おようは極めた情念の凄まじさに半開きにした唇の間から舌を覗かせ、動かなくなってしまった。

 「完全に往っちゃったんでしょう」

 典子に乳房を揺さぶられ、現実に引き戻されたおようは浣腸されながら頂点を極めるという悪魔たちの玩具と成り果て、翻弄される我が身を思い出して屈辱の涙を流し始めるのだった。

 「この女、ここでも感じるようですわ」

 岩村がおようのその部分を指して笑うと葛城もニンマリとした笑みを浮かべる。後はこの場で排泄させ、おようの誇りを木っ端微塵に打ち砕けば良いと葛城は思っていた。

 おようへの責めが一段落し、酒が振舞われ、野卑な男女はおようの濡れた裸体を前に口々に侮蔑の言葉を吐き始める。それを聞きながら、おようは高まり始めた便意との戦いを始めなければならなかった。

 「どう、浣腸って満更、悪いもんでもないでしょう」

 酒に酔った真理子が絡んでくるとおようは思わず顔を背ける。それにカチンと来た真理子は顔を自分の方に向けさせると意地悪い笑みを見せる。

 「あら、相変わらず私には素直になれないようね。もう一本、味わって見る?」

 真理子の言葉におようは驚愕の表情を浮かべた。既に鈍痛も始まっている身に更に責め苛もうとする悪魔たちの発想はおようの心を凍らせるのに十分だった。

 「や、止めて・・・そんな事、しないで」

 振り絞るような声で哀願するおようを横目に真理子は浣腸器に再び溶液を満たし、無防備に晒されている羞恥の前に膝を折るのだった。

 「まあ、お腹が鳴ってるわね」

 おようの腹鳴を耳にした真理子はプッと吹き出し、典子と顔を見合わせる。限界が近づいていることに気が付いた真理子は急がなきゃと独り言を言って浣腸器を手にし、目標に狙いを定めるのである。

 「お願いだから・・・しないで。これ以上、惨めにしないで・・・」

 おようの女として本能が言わせた言葉だった。しかし、真理子にはその言葉は却って暗い欲望に油を注ぐ事になる。真理子は有無を言わせず突き刺すと勝ち誇ったような顔をして涙で汚れているおようの顔を見つめるのだった。

 「私もねおようさんに浣腸してやりたいのさ。もう、一本くらい、我慢できるでしょう」

 「ああ・・・」

 おようの顔ががくがくと揺れ、唇から呻きが洩れた。真理子が得意気になってポンプを押し始めたからだ。真理子は沸きあがる快感で体中が熱くなるのを感じていた。自分を蔑んだおようを完膚なきまで叩きのめす。真理子はそんな使命感に突き動かされるように留めの浣腸を施した。