酸鼻の極み

桔梗は淀君の肉が弛緩したのを感じて二つの責め具を抜き取った。
淀君の余りに凄まじい狂態振りを目にした二人の家臣は魂を抜き取られたような表情をしてその抜け殻のようになった姿を見つめている。

家康は含み笑いをすると袂から竹筒を取り出して桔梗に渡した。
「これで留めをさせ」
それを受け取った桔梗は喜色の色を浮かべて竹筒に水と油を溶かした溶液を吸い込ませると腰を上げる。
再び、でんと晒している悩ましい淀君の前に詰め寄った桔梗は油を手にするとその秘密の陰影を見せる菊座に擦り込み始めた。

快楽の余韻に浸っていた淀君はまた辱しめられるのかと感じてけだるそうな声を放った。
「も、もう許してくださいませ」
頬に長い髪を貼り付かせた淀君が哀願の表情を浮かべているのを目撃した桔梗は意地悪そうな笑みを浮かべる。
「ここを柔らかくしておかないと後が辛いのさ」
桔梗に竹筒を示された淀君は大きく目を開き、恐怖に引きつった表情になる。

「驚いたのかい。昨日から厠に行かせてもらってないんだろう」
悪戯っぽく笑った桔梗はさらに力を込めて淀君の菊花を揉み上げている。淀君は打ちのめされたようにがっくりと顔を横に伏せるとシクシクと啜り泣きの声を上げ始めた。
家臣の前にこれ以上の醜悪な姿を晒す事に淀君は恐れおののいているのだ。しかし、朝から間断なく責めたてられている淀君は疲労の極にある身体を震わせて桔梗のいたぶりを甘受するしかなかった。

それでもおぞましい溶液を含んだ竹筒の先端がその部分に触れてくると淀君は疲れきった身体を揺さぶってその矛先を逸らせようと必死に身悶える。
「嫌、嫌にございます」
少女のように初々しい羞恥を見せて双臀を揺さぶり、必死の哀願を見せる淀君に桔梗は舌打ちして矛先を一旦引き上げた。
「おとなしくしないかい。家臣の前だよ。みっともないじょないか」

桔梗に双臀を叩かれた淀君は家臣の目の前だと言われた事でその身悶えは弱まってしまう。そこを狙って桔梗は矛先を埋め込んだ。
「あ、あっ、お願い」
深々と突き立てられた矛先を感じて淀君は双臀をうねり回し、尚も哀訴の言葉を続けていた。
「もう、手遅れさ。家臣の目の前にたっぷりと糞を盛り上げて見せな」
秀正に身動きを封じられた淀君は遂に観念の瞼を閉じた。しかし、その恐怖は胸の中を圧迫されるような思いを淀君に与えている

「さあ、思い知れ」
桔梗は今まで積もりに積もった恨みを一気に晴らすように力を込めて弁を押し込めた。
「く、悔しい」
胎内の中に溶液が送り込まれたことを知覚した淀君は一声、呻くとそのおぞましい感触に歯をカチカチと噛み鳴らすのであった。
「淀君、敗れたり」
全ての溶液を送り込んだ桔梗は勝鬨の声を上げて満面の笑みを浮かべると家康の方を振り向いた。

「儂もこの女狐には恨みがある。灸を据えてやるぞ」
家康も淀君の羞恥に悶える姿に刺激されてしゃしゃり出て来た。
「これ女狐。もう、二度と徳川に盾突かぬと誓え」
涙に咽んでいる淀君の無防備な陰核を弾いて家康が毒づくと苦しげな息を吐いて淀君は口を開く。
「二度と、二度と徳川様には盾突きませぬ。可愛い女になりまする」
血を吐くような思いで屈辱の言葉を口にする淀君に気を良くした家康は桔梗から渡された竹筒を手に取った。

「よくぞ言ったぞ。褒美を取らせよう」
家康にその先端を埋め込まれても淀君は狼狽は示さなかった。もうどうにでもなれと捨鉢の度胸を決めた淀君ではあったが溶液が再び送り込まれてくると乱れた髪を大きく揺さぶって涙に咽ぶのであった。

秀直と勘平は寄ってたかって淀君が落下無残な辱しめに遭っているのを目にしてもどうする事も出来なかった。豊臣家が没落していく様をまざまざと見せ付けられている気分の二人は涙を堪えるので精一杯であった。
腹の中で渦巻き始めた便意に恐れをなしている淀君に更なる試練が降りかかっていた。桔梗の膝の上に頭を据えられた淀君は汗に塗れた双臀の前に胡座を組んだ秀正に声を掛けなければならなかったのだ。

「秀正、そなたのお母上を嬲りぬいて殺してしまったのは私だ。どうか竹筒で恨みを晴らしてくれ」
殺気立った表情になった秀正は溶液を含んだ竹筒を掴むと濡れそぼっている淀君の菊花にそれを突きたてた。
「母上の恨み、思い知れ」
叫んだ秀正は竹筒の弁を力一杯押し込んだ。
三度味合わされたおぞましい感触、淀君は双臀を弱々しく震わせて涙ぐむだけであった。秀正が矛先を納めると淀君はキリキリと腹部を襲い始めた便意と戦わねばならなかった。

吊り上げられている淀君の汗に光る太腿がゆらゆらと蠢いている。桔梗は膝の上で揺れている淀君の涙に濡れた頬を突付いた。
「そろそろ我慢できないんじゃないかい?」
「ああ、厠に行かせて下さいまし」
淀君が気弱に瞳を開いて便意を訴えると桔梗は片頬を歪ませて意地悪い笑みを浮かべる。
「厠に行かせたら意味が無いじゃないか。この場で糞を盛り上げて家臣を驚かせてやるのさ」
淀君は悲しい色を浮かべて顔を横に伏せると桔梗はその耳に口を寄せる。

「そ、そんな出来ませぬ」
その言葉に驚愕した淀君が桔梗を振り仰ぐとその頬に平手打ちが跳んだ。
「言えないならこのままやらかすがいいさ。でも、それが言えるように何度でも糞を盛り上げさせてやるよ」
鬼のような形相になって脅し続ける桔梗に淀君は抗する術が無い。容赦なく突き上げてくる便意に堪えきれず淀君は涙を何度も飲み込んで口を開いた。
「加倉、草間。そちたちにお願いがありまする。わ、私の便を始末しておくれ」

懊悩する淀君に声を掛けられた二人は思わぬ事に狼狽する。しかし、淀君の切羽詰っている苦しみを承知している二人はそれを承諾するしか無かった。
「相。判りました。お世話させて戴きます」
元直と勘平が承知すると秀正は桶を手渡した。それを手にした二人が淀君の晒している羞恥ににじり寄ると淀君は涙を流しながら口を開いた。

「そなたたちにこんな事をさせて相すまぬ。豊臣家の存亡が掛かっておる。少々の臭いには我慢して欲しい」
ようやっと言い切った淀君は悔しげに唇を噛み、嗚咽の声を上げ始める。
桔梗も淀君の頭を下ろすと興味津々といった風情でその部分に好奇な目を向ける。
元直は震える双臀のその部分の下方に桶を宛がった。
「さあ、いつでも始めて下さい」

元直に言葉を掛けられても淀君はまだ放出を堪えていた。家臣の目の前にそんな姿を露呈するという現実に淀君の僅かに残っている自尊心と女の本能がその決壊を妨げているのだ。
「早くやらかして皆の笑い者におなりよ」
桔梗に片足を揺さぶられた淀君は首を激しく振った。
「嫌、嫌にございます」
限界に達している身でありながら放出を拒否する淀君に腹を立てた桔梗は竹筒に溶液を含ませると呆然としている勘平にそれを押し付けた。

「さあ、これで駄目を押してやるんだ」
「できませぬ」
勘平は驚いた顔になりそれを拒否する。
「それをしないと淀様は一生ここから出られなくなるよ」
恫喝された勘平は淀君を苦しみから早く解放するためだと自分に言い聞かせると無残な心をけし掛けて矛先を埋め込んだ。

「お方様。お許しください」
「あっ」
限界に達している身に四度目の洗礼が襲い掛かった。長時間に亘って両足を吊り上げられている事と狂おしい便意を堪えているため淀君の下半身は痺れて感覚が鈍くなっていた。時折、傷ついた獣のように呻き声を上げ、涙に咽ぶ淀君は突然かっと目を見開いた。

「ああ、あああ、駄目じゃ」
遂に防波堤は決壊し、黄金色の噴出物が元直の手にする桶の中に落下してゆく、それは止め処なく流れ出てたちまち小山を形成していた。
「とうとうおっぱじめたぜ」
喜々とした声を上げて桔梗は手を叩いて喜んでいる。家康は身を乗り出して笑みを浮かべて好奇な視線を向けている。ただ一人秀正は淀君の頭近くに座り、号泣する淀君の首辺りを撫でさすって気分を落ち着かせようとしていた。

二人の家臣も桶を支えながら泣き声を上げている。まるで豊臣家が終焉を迎えたような錯覚に二人は見舞われていたのだ。
「もう、終わりなのかい」
淀君の噴出が止まると桔梗はその太腿を揺すった。
号泣の声が弱まり、哀泣に変わった淀君はそっとうなづいて見せる。

元直の手により後始末をされても淀君はすすり泣くだけで何の反応も示さなかった。
長時間に亘り吊り上げられていた両足が下ろされ自由にされても淀君は開いた足をすぼめる気力も失われる程、疲れ切っていたのだ。

寒鳥

それから半刻後、日もとっぷりと暮れた大坂城内の徳川の屋敷から元直と勘平に支えられて淀君は出て来た。もう一日、泊まっていけという家康の言葉を振り切って本丸に戻る事を希望した淀君ではあったが長時間に亘り責め苦を受け続けてきた身体は自由が効かず、歩く事もままならない状態であった。

「背負いましょう」
膝を付いてしまった淀君を見かねて元直が声を掛けると淀君はその場に平伏した。
「ああ、恥ずかしい。お前たちにまであんな姿を見られるとは」
急に泣きじゃくり始めた淀君に二人とも何と声を掛けて良いのか判らず呆然としている。

「豊臣を秀頼を見限らないでおくれ。落ちぶれたとはいえこの豊臣家を潰すわけには行かぬのじゃ」
振り絞るように言った淀君は平伏を続けている。
「豊臣家はまだまだ安泰にございます。このままお使えさせて頂きます」
元直が勇気付けるように言うと淀君はその涙に濡れた顔を上げた。

「秀正と桔梗を捕らえて首を跳ねてしまいましょう。いくら恨みがあるといっても二人の所業は許せませぬ」
勘平が拳を固めて言うと淀君は泣くのを止めて立ち上がった。
「そんな考えを持ってはならぬ。もし露見したらそれこそ家康の逆鱗に触れてしまう。それに秀正はわが味方よ」
「秀正が味方にございますか」
徐々に普段の荒々しさが戻って来た淀君に安心した元直が尋ねた。

「ああ、昨晩、契りを交わして私に間者になることを誓った」
「それが誠なら心強い事にございます」
「うむ。豊臣家は秀頼の代になって興隆を極めるはずじゃ。徳川の寝首を掻いていつかは秀頼の将軍姿を見たいものじゃ」
「はは、そう願っております」
ふらつきながらも歩き始めた淀君の後を付いて歩きながら元直は頷いた。

「そうじゃ、桔梗の子供たちは毛利にいるのであったな」
「はぁ、そのように聞いておりまする」
「大坂城内に住まわせ養育せよ」
「どうなさるおつもりですか?」
不審に思った勘平が尋ねた。
「千姫の遊び友達も必要じゃ。それにいざとなれば人質になるやも知れぬ」

秀直は淀君の変わり身の早さに舌を巻く思いがした。先程まで落下無残に責め苛まれ、息も止まるのではないかと思うほどの辱しめを味わった女とは考えられなかったのだ。
「豊臣家はこのままで終わらぬわけはない。いや、終わらせてはならぬ」
晧々と輝く月に向かって叫んだ淀君は完全に激しい気性を取り戻していた。

二年後

月日は流れていた。1603年の年が明けていた。淀君は大坂城にて権勢を振るっていたがその力は激減していた。
あれから家康は一度も大坂を訪れる事は無かったがこの度、征夷大将軍の勅旨を受けるため上洛し、その後に大坂城を訪れる事になっていた。

秀正は豊臣の間者としての役割を充分に果たしていた。側近が洩らす情報は誰よりも早く正確だった。
淀君は秀正の事を考えると身体が熱くなった。此度の上洛に同道すると聞いている淀君は待ちきれぬ思いになっている。

桔梗の二人の子供は大坂城内で養育していた。男子が太一郎で八歳、女子が葉月で六歳という。太一郎は剣術の稽古に熱心で秀頼の良い遊び相手になっていた。葉月は聡明な娘で女中たちの言う事を良く聞いていた。
このまま太平が続けば二人は豊臣家の近侍としての生活が送れようがもし戦となれば千姫共々重要な人質になると淀君は考えていた。

その年の7月、七歳の千姫は十一歳の秀頼の許に嫁いだ。
そして、千姫のお付き女中として葵が志乃と名を変えて同道していた。彼女の使命は淀君の魔の手から千姫を守る事であった。
千姫を得た淀君は豊臣が徳川の臣下としての存在を許されたと思っていた。しかし、このままでは秀頼が将軍職に就く事は出来ない。その野望の炎は胸のうちにメラメラと燃え始めていたのだった。

戦国無残Yに続く