秀吉の恨み
道場に連れ込まれた楓はお文の手で丸太に縛り付けられていた。しかし、姿を見せない新乃助の事が気になって楓はうろたえていた。
「新乃助は、新乃助に会わして下さいまし」
「新乃助は庭の木に吊るされているよ。ほら聞こえるだろう」
お文が笑いながら答えると庭のほうから肉を打つ音と新乃助の呻き声、それに男達の罵りの声が聞こえてきた。
真冬の寒空の下、全裸で晒されていては新乃助の命もこと切れると楓は全身総毛立つ思いになった。
「お願いでございます。新乃助をこの場にお引き立てください」
必死に訴える楓を見て、お文は道場を出て行ったが中々戻ってこなかった。庭からは相変わらず肉を打つ音と新乃助の短い悲鳴が聞こえ、楓の心を締め付けていた。
ようやっと柳庵斉、ボブ、国吉、秀吉に囲まれた新乃助が姿を見せた。全身に青竹で打ち据えられた蚯蚓腫れの身体を楓の足元に崩し苦しく息づく新乃助を見て楓は息を呑んだ。
「この餓鬼、儂の事を猿だとぬかしやがった。ちょっと痛ぶってった」
秀吉が憎々しげな顔つきになり今一度、身を二つ折りにした新乃助の双臀に青竹を打ち当てた。
「お止めくださいまし。お腹立ちは私めにお晴らしくださいませ」
楓の声に秀吉は眉を吊り上げると青竹を楓の眼前に突き出した。
「お前には別の恨みがある。柳庵斉、ボブとこいつを間具合わせろ」
覚悟した事とはいえ秀吉の背後から自分を見つめるボブの不気味な視線を目にすると楓の閉じ合わせた太腿はブルブル震え出す。
「あはは。震えておるのか。儂の一物を嘲り笑った報いよ」
道場の土間の上に筵が敷かれ。その上に夜具が延べられると秀吉の恨みを晴らす舞台が出来上がった。
丸太から解き放たれた楓は国吉に背を押され夜具の上に腰を下ろした。ボブも楓と対するように腰を下ろすと国吉が頬を蒼ざめさせて目を閉じている楓の耳元に口を寄せた。
「いいか、言われた通りにしないと新乃助はお手打ちになるんだ。ボブを甘くお前のほうから引き込んでやれ」
柳庵斉に何事か言われたボブは膝を進めて楓の身体を胸に抱きとめた。
太く無骨な指で可憐な乳首を弄られながら楓は精一杯の媚態を演じなければならなかった。
「私は今日からあなたの妻となります。末永く可愛がって下さいまし」
楓が血を吐くような思いで口にした言葉を柳庵斉が訳してボブに伝えるとボブは笑みを見せて大きく頷いた。
「あなた様のような逞しい方を楓は待ち望んでおりました。好きでございます」
お文から無理やり言わされた言葉ではあったが楓は煽られたようにボブの眼前に唇を差し出した。ボプは欲望にギラついた目をして首を仰け反らせるようにして差し出された楓の唇にぴったりと口を合わす。
うっとりと目を閉ざした楓に濃厚な口付けをボブは与えながら両手は触覚のように動き出し、楓の甘美な肉体の上を蠢き始める。
「異人との接吻はどんな具合だ」
土間にどっかと腰を下ろした秀吉は口をボブと吸いあう楓を揶揄した。
ボブの手管により全身が火照り始めた楓は口を離すとその厚い胸板に頬を擦り付ける。
「ああ、たまりませぬ。楓にあなたさまの男を味合わせて下さいまし」
囁くような声音で言った楓の言葉を柳庵斉に聞かされたボブは仰向けに横たわると楓に後ろ向きになって自分の上に跨るように指示するのだった。
立ち上がった楓はそそり立つボブの凶器を目にして一瞬たじろいだが、国吉と柳庵斉そしてお文までが手を貸してその上に腰を沈ませてゆく。
ボブの楔のあまりの巨大さに顔をしかめた楓ではあったが肩を押され、その根元まで深々と飲み込んでゆく。
「とうとう。呑み込んだな。どうだ、気持ちよいだろう」
秀吉は喜悦の声を上げ、翳りを失った楓の下半身を触ってボブの形を確認するとにんまりと笑った。中心に楔を打ち込まれ、縄に縛り上げられた身体を悶えさせ苦しげな息を吐く楓の腰に手を回しその身体を自分の身体に預けさせるように仰向けにした。
楓が悶える事によって楔が抜けてしまう事を楓の肩に自分の顎を乗せて防いだボブは小憎らしい手管を発揮して懊悩する楓を追い詰めてゆく。
左手で乳房を揺さぶられ、右手で愛らしい陰核を弄られ、さらに両足までボブの逞しい太腿に絡め取られた楓は蜘蛛の巣に捕らえられた蝶のように喘ぎながら頂点への加速を強めてゆく。
首を大きく打ち振って耐え切ろうとした楓の首筋をボブの長い舌が這いずり回ると遂に楓は絶息するような呻きを上げ頂点を極めた。
「とうとう、降参しおった。思い知ったか」
秀吉は小刻みに甘い痙攣を伝える楓の太腿を青竹で叩いて喜悦の声を上げる。
がっちりと両腕で楓の身悶えを防いでいたボブは楓の啜り泣きの声が小さくなるとまたぞろ攻撃を再開した。
「おう、またか、こりゃ愉快じゃ」
秀吉が手を叩いて喜ぶと柳庵斉はしたり顔で口を開いた。
「ボブの得意技の搦め手にございます。これをやられると女は音を上げまする。ボブは男の精を吐き出しておりませんので何度でも女をいかせてしまうのです」
また、甘い声で涕き出した楓に意地悪い顔をしたお文が突付いた。
「このままじゃ埒があかないよ。自分で腰を動かしてボブを追い落とすんだよ」
お文に言われても身動きの許されない後ろ手に縛られている楓はどうすることもできない。ボブに煽られ、いなされ、責められる。楓は声さえ立てられず二度目の頂点を迎えようとしていた。
楓の筋肉が収縮することによって楓が限界点に達した事を悟ったボブは楓の両足を絡め取ったまま、反動を付けると腰を大きく跳ね上げ、両足を高々と振り上げた。楓の身体を抱きしめたまま上体を起こしたボブの動きによって深々と楔を呑み込まされてしまった楓はつんざくような悲鳴を放つと肩を震わせて号泣する。
極致の情念
気息奄々といった風情の楓の姿に舌なめずりした秀吉は国吉に命じて新乃助を連れてくるように命令する。
道場の片隅で姉が虐げられているのを涙を流しながら聞いていた新乃助は国吉に縄尻を取られ、楓がボブに翻弄されている舞台に引き立てられた。
三度目の頂点に向かって追い上げられている最中の楓を目撃した新乃助はそのあまりに凄まじい光景に声も出ない。目を閉じていても楓の甘い、やるせない、啜り泣きは嫌でも耳に入ってくる。
お文に何か言われた楓の顔が苦しそうに歪んだ。しかし、お文に念を押されると楓は目を見開き目の前で悔しそうに唇を噛む新乃助を見つめた。
「し、新乃助、楓にはボブという新しい亭主ができました。お前は尾張に行って、の、信長様に尽くしなさい」
そこまで言い切ると楓は再び目を閉ざした。しかし、お文は新乃助の屹立が力を漲らせている事に気が付いて楓の耳に再び口を寄せる。
「し、新乃助。姉の身体が恋しいですか。じゃあ、最期の名残に私の口で思いを果たしなさい」
甘い喘ぎに織り交ぜながら口にした楓は最早、戸惑いは見せなかった。
国吉に尻を押され、目前に迫ってきた新乃助のそれを目にすると、
「新乃助」
と、一声叫ぶと、いとおしそうにその屹立を口に含んだ。
「あ、姉上」
新乃助は悪鬼たちに翻弄されていると言うより、楓と今生の別れになるかも知れぬ思いに駆られ、その愛撫を素直に受け入れた。
上体を起こしているため楓は腰を上下に細かく動かし、今度こそボブを追い落とそうと懸命になっている。その反動が新乃助にも伝わり、遮二無二吸い上げる楓の行為に思わず自失しそうになる。しかし、この行為が終われば楓と二度と会えなくなる恐れを感じ、唇を噛み締めていた。
秀吉は麻縄で縛り上げられた全裸の楓が汗みどろになってボブに挑み、新乃助を慰めている醜悪図を目にして胸のすく思いに浸っていた。楓の揺れ動く乳、欲望を搾り尽くそうと貪欲に跳ね回る尻、以前は憎しみを覚えたそれらがとても愛しい物に秀吉は感じるのであった。
「うっ」
楓はいきなり頂点を極めてしまい、思わず新乃助に歯をあててしまった。しかし、それが新乃助にはきつめの刺激になり自失を促す事になった。更にボブも楓の収縮に巻き込まれるように張り詰めていた緊張を解放し、三人はほぼ同時に頂点を迎えた。
新乃助の迸りを最後の一滴まで絞り尽くすと楓は力無くボブの上から滑り落ち、楓の愛液に塗れたボブの凶器が未だに硬直したまま精を吹き上げているのを目にした秀吉は満足の笑みを浮かべて立ち上がった。
「柳庵斉、構う事はない。楓を徹底的に絞り上げ、男なしではいられぬ身体に仕上げろ」「かしこまりましてございます」
柳庵斉が頭を下げると白い肩を震わせて正体なく息づく楓と泣きじゃくる新乃助を横目に復讐を果たした秀吉は意気揚々と引き上げてゆくのであった。
愛飲人形
翌日の昼過ぎ、信長が道場を訪れてみると楓は修行台の上に後ろ手に縛られた全裸の身体を載せ上げられボブに唇で奉仕している最中であった。
道場の隅で鞭を手にした柳庵斉を呼び寄せた信長は楓の様子を尋ねるのであった、
「首尾はどうじゃ」
「はい。弟の命を救いたいためでしょうか、苦しい修行にもよく耐えております」
信長はボブの屹立を口いっぱいにほうばって無心に舌を動かしている楓の姿を目に止めながら、さらに柳庵斉に話し掛けた。。
「ボブとの夫婦仲もうまくいきそうじゃな」
「昨日あれより、夕刻までボブと肉の絡みを修練させた後はこのままに晒しております。楓は昨日より食を与えておりませぬ。男の精を吸い取ることにのみ専念させております。男の精を含みますれぱ女の身体は内より変化していくものにございます」
「なにさすれば楓はいったいどのくらい男の精を吸い上げたのか」
「少し酷かと思いましたが、徹底的に仕込むためにこの館に訪れるすべての男たちを呑み込んでおりますゆえ、すでに二十四回になりますか」
「成程、夕刻まで修行を続けさせたら朝まで休ませるがよい」
「心得ましてございます」
ようやっとボブヘの奉仕を終えた楓がぐったりと頬を修行台に押し付け目を閉じてかすかに息付き始めると信長は妖しい期待に胸を弾ませながらその無残な姿に近付いた。
開股縛りにされている楓の股間から一本の紐が天井に向かって伸びており、その紐は無残にも抉り出された楓の肉芽にしっかりと結び付けられている。さらに楓の官能を昂めるためにその愛らしい双の乳首にまで鈴をつけた糸が巻き付いているのを目にした信長は柳庵斉のすさまじい修行ぶりを目の当たりにした思いになり舌を巻くのだった、
「楓、素直に修行を受けておるか」
けだるそうに瞳を開いた楓は男の白濁を貼り付かせた頬を震わせながら、かすれた声を出した。
「ああ、楓は新乃助を助けたいがために耐えております。何卒、お許しを」
「男の精以外、何も食べさせては貰っておらぬそうな、さぞひもじいであろう」
「いえ、楓は修行の身、それだけで十分でございます」
けなげにも信長を喜ばすような事を言った楓ではあったが疲労し切っていた。特に数多くの男根を咥えた顎は痺れ切り、口を開くのも億劫なくらいであった。しかし、そんな楓の姿にも信長は哀れむどころか情欲の疼きを感じてしまう。
「儂の精も吸い取ってはもらえぬか、丁度、昼時だし腹もすいておるだろう」
疲れきり、何もする気力もない我が身をさらに痛ぶろうとする信長の所業に楓は泣きたい気持ちになった。しかし、新乃助の命乞いのために屈辱に身を任せている楓には信長の破廉恥な要求を拒むことはできなかった。
「喜んでお慰めいたします。」
信長が袴を脱ぎ始めると、柳庵斉は楓を肉の歓びにのたうたせるために大きく開かされている両足の間に身を乗り入れた。
着物の前をはだけた信長が楓の顔に迫る頃には柳庵斉の愛撫を受けている楓の肉体は桃色に色付き始め、荒々しい呼吸を繰返し始めた。
「さあ、儂の男を存分にしゃぶり抜くがよい」
突き付けられた信長の屹立に悲しい視線を這わした楓はそっと舌を使ってその先端を擦りあげ、淫婦のような目つきで信長を見上げるのであった。
「新乃助の命、救っていただけますね」
「これだけ、素直になれば案ずることはない。新乃助は今日にも尾張に送り届けることにしよう」
信長の言葉を聞いて安心した楓は花のような唇を押し開き信長の熱くたぎるものを頬を膨らませて口のなかに含むのであった。
人形になったように無心に舌を小刻みに動かせる楓の手管に官能の芯を刺激された信長は思わず感嘆の声を上げた。
「おお、痺れるような思いじゃ。楓、肉の修行の成果じゃぞ」
やがて、柳庵斉の操る張り形に官能の芯を掻き立てられた楓が遮二無に信長を追い込み始めると信長は遂に楓の心と身体を完全に征服した気分に酔い知れていた。後は楓に黒い肌を持つ子供を産ませればと信長は思いを馳せるのであった。
涙の滴を滴らせた頬を揺り動かし、必死に舌を使っている楓はそんなこととは無関係に男の妖気に酔ったような表情になり、信長に挑み掛かっていた。
一年半後、信長は天下統一を目前に本能寺で明智光秀の謀反により命を落とす事になる。しかし、この混迷の時にも楓の悲運は続く事になる。
戦国無残Vに続く