悲しみのアイドル

 全てを忘れたようにデビュー曲を堂々と歌い終わった唯は由里に促され、三枝の前に跪かされる。一瞬、悪夢を忘れる事が出来た唯ではあったが再び、その現実に直面することとなる。

 「良く、歌い終わったな。褒めてる。そら、お前にピッタリの褒美だ」

 三枝が下半身を露出したので唯は思わず腰を浮かせて退こうとする。しかし、由里が両肩を押さえつけてそれを許さない。

 「三枝さんをお慰めできるなんて光栄だよ。逃げるなんて失礼だよ」

 由里が忠告すると三枝もそれに頷いてみせる。

 「俺のおしゃぶりは妻の忍しか許されていないのだ。それをお前に分け与えようというのに逃げる奴がいるか?」

 「さあ、お慰めするんだよ」

 由里と恵子に両肩を掴まれた唯は更にその醜悪な生き物に顔を近づけさせられた。昨晩の暴虐の中で松井と塩野の一物を愛撫した唯ではあったが自分が冷静でいるままのその行為には未だに嫌悪感を感じ、俯いてしまう。

 「しないつもりなのか?昨日、奴隷になると誓ったことを忘れたのか?」

 三枝が恫喝に似た言葉を発した。唯の心は悪魔たちの仕打ちにに怯えるのであった。

 唯が震える指先でそれを握り締めると軽く揺すり始めると悪魔たちは一様に安堵の表情を浮かべた。

 「そうだよ。素直に言うことを聞けば、痛い目やや、辛い目に遭わないで済むんだからね」

 由里に肩を叩かれた唯は悔しさ、悲しさを押し殺すように唾を飲み込むと固さをもち始めたそれを口中に含み、舌を激しく動かして愛撫を開始した。

 三枝はアイドルに愛撫をさせているという勝利感に酔いながら、料理を口に運び、酒を飲み、視線はガラスの小部屋の中で眠り続けている真琴に向けてられていた。

 真琴は女性としてはかなり大柄でおそらく奴隷たちの中では良美についで背が大きいだろう。顔立ちは野性的な面持ちでズケズケ物を言う、小生意気なアイドルとしてのイメージが定着しているが彼女のセールスポイントはそのFカップとも言われる巨大な胸だった。

 その真琴が全裸で吊るされている。三枝は思わず笑みが溢れてくる。それは栗山にとっても同じだった。最近は二人の妻を相手にすることが多く、他の娘と遊ぶ余裕など無い彼ではあったがこの二人のアイドルとは是非、一度、プレイをしてみたいと栗山は思っていた。

 そんな事を考えている内に肉の疼きを感じた栗山はパーティーを抜け出して妻に会ってみたいと思い始めた。

 考えたら行動に移さないときが済まない栗山は二階に上がると絵里の部屋をノックした。しかし、返事は無い。栗山は続いて祐子の部屋にも行ってみたがこちらも音なし。

 栗山は三階に上がってみた。アトリエの一角にあるフィットネスルームに祐子、絵里そして忍の三人が集まり、楽しそうにおしゃべりをしていた。

 「あら、栗山さん」

 忍が目ざとく栗山を見つけて声を掛けてきた。

 「二人の奥様に何か御用かしら?ここに来て一緒におしゃべりしましょうよ」

 忍の言葉に栗山もたじたじだ。

 照れた笑いを浮かべた栗山が傍らに座ると絵里が口を開いた。

 「何かパーティーをやってるみたいね。何だか楽しそうだわ」

 絵里は残念そうに言った。彼女たち三人は許可なくして一階には降りられないのだ。

 「また、どなたかをこのお屋敷にお招きしたのですね。三枝が楽しそうに話していたので存じております」

 忍が意味ありげな笑いを投げ掛けると栗山は曖昧に笑って見せた。忍は完全に三枝の妻として振舞っている。最初は何でも三枝の意のままに従っていたが最近はその関係が微妙に変化しているようだ。

 「ねえ、今日は奴隷の人たちここに来ないのかしら?」

 「来ないと思うよ」

 祐子は栗山の返事に落胆の色を見せた。奴隷たちは午前中の一時間をここで過ごすことが常だった。彼女たちはそこで肉親や友人に会えるのを楽しみにしているのだ。

 「栗山さんがここにいらっしゃったのは奥様方とちょっと会いたくなったのに違いないわ。ねえ、栗山さん」

 忍の指摘が的確だったので栗山は下を向いてしまった。

 「ねえ、たまにはお二人を同時に愛して差し上げるのも夫の務めですよ。お相手して差し上げなさいよ」

 栗山が困っていいると絵里が立ち上がって栗山の手を取った。

 「さあ、行きましょう」

 「待って、私も一緒にね、良いでしょう」

 祐子にも腕を取られた栗山は二人の妻に挟まれてその場を去ることになった。どうにもへんな雲行きになったと栗山は満更でもない顔付きで階段を下りてゆくのであった。

真琴の抵抗

 祐子は栗山と絵里を部屋に迎え入れると紙おむつを敷き、その上に寝そべった。

 「絵里さん。たまには女同士で楽しみ合いましょう。栗山さんも趣向が変って面白いでしょう?」

 栗山が満更でもない顔付きをしているのを確認した絵里は祐子の傍らに腰を落とす。半身を起こした祐子は絵里の頬に口付けすると優しく乳房を愛撫し始めた。絵里もそのムードに押し流され、熱い口付けを祐子に返した。

 二人の熱気は更に高まり、栗山の目の前ということも忘れ、徐々に衣服を脱ぎ、遂には全裸となって絡まり合い始めた。

 「絵里さん。私の事、好きよね。好きと言って」

 「好きよ。祐子さん!」

 祐子の指先で肉芯を掻き立てられている絵里は心の思うがままに答えている。祐子の言葉は栗山に見せる演技かもしれなかった。しかし、それを感じさせぬほど二人の行為は本気になっている。

 「あー、素敵」

 祐子の舌先をその部分に感じた絵里は大きく項を見せた。

 「絵里さんも・・・お願い」

 下になってる絵里も頤を伸ばして祐子のそれを舌先で愛撫する。二人の妻たちが演じる究極の愛欲図に栗山は声も出させずそれを見守っている。

 指と舌先の攻撃に絵里は程なく陥落した。

 身体を震わせて感激の嗚咽に咽ぶ絵里の裸体をしっかりと抱きしめながら祐子はうっとりと目を閉ざしている。

 栗山が我慢できずに二人に近づこうとするのを祐子は目で制すと絵里の耳元に囁くのであった。

 「今度は私を楽しませてね」

 甘い声音で囁かれた絵里はこっくりと頷くと祐子の股間に顔を埋める。

 絵里の荒々しい行為に祐子は引きつった悲鳴を上げて夥しい反応を溢れさせている。

 遂に我慢できなくなった栗山は服を脱ぎ捨てると祐子の傍らに寄り添い横になるといきり立った一物をその柔らかな掌に握らせるのであった。

 絵里の容赦ない攻撃を受けて祐子は栗山を握り締めたまま頂点を極めたのだった。

 「あーん。嫌」

 硬直した筋肉が弛緩して緊張が緩んだ祐子は排尿を始めてしい、恥ずかしさの余り両手で顔を覆った。

 しかし、その偶然の行為は却って栗山の思いに火を注ぐ結果となった。興奮した栗山は排尿を終えたばかりの祐子に圧し掛かると一心に腰を突き動かす。絵里もそんな栗山に熱い口付けを注ぎ、その手を股間に導くのだった。

 二人の女を相手に栗山は欲望の赴くままに振舞って見せた。祐子の腹上に白濁を吐き出すとすぐさま絵里に組み付いた。三人の性戯はいつ果てることなく続いていた。

 どれ位時間がたったのだろうか三人は川の字のようになり、栗山を中心にして横になっていた。絵里と祐子は名残惜しそうに交互に栗山の一物に手を伸ばすが栗山は疲れきっているのか何の反応も示さなかった。

 「しまった」

 テレビを付け、鏡の小部屋に真琴の姿が見えなくなっているのを目にして栗山は跳ね起きた。アイドルの放尿の姿を見逃したことを栗山は悔いていたのだ。

 大急ぎで服を身に着けた栗山は部屋を出ると階段を下り始めた。そこへ、女の悲痛な声が聞こえてきたので栗山は立ち止まり、耳を澄ませた。

 「逃げられると思ってるのか、後のお仕置きが酷くなるぜ」

 三枝の声が聞こえてきた。いつもは落ち着いてる彼の声が興奮を示している。栗山は更に階段を下りてパーティルームの様子を窺った。

 松井と木曽が床に倒れている。全裸の真琴が唯を背に庇いながら三枝と対峙したまま壁伝いに移動している。由里と恵子はステージで怯えている。どうやら、真琴の足蹴りの凄まじさに圧倒されている様子だった。

 「お前たちみたいな虫けらの勝手にされて溜まるかい」

 真琴は怒りに燃える激しい視線を送りながら更に階段に近づいてきた。真琴も唯も両腕を前で拘束されている。しかし、念には念を入れて栗山は足音を忍ばせて階段を上がるとプレイルームに入り、ロープを手にすると三階に上がった。

 先日の逃亡劇が二階で終止符を打った唯の案内で真琴が三階に上がってくること栗山は読んだのだ。栗山はロープに輪を作った。これで真琴か唯の首を吊り上げようと栗山は思っていた。

 「どこへ逃げればいいの?」

 「判らないわ」

 二階に上がってきた二人の声が聞こえる。真琴もなぎ倒した松井と木曽が回復の気配を見せ始めているので気が気ではないのだ。

 「まだ、栗山という人がこの階にいる筈よ。気をつけて」

 空手の使い手ではあるが素っ裸の上、両手を前で拘束されている真琴は慎重に三階への階段を上り始める。

 振り向いた一瞬、真琴の視線に真上から落下してくるロープが目に入った。真琴は体勢を低くしてそれを避けたが続いていた唯の首にそれは巻き付いた。

 「畜生」

 栗山は真琴の敏捷さを呪いながらもロープを力一杯引き始めた。

 「あっ、ああ」

 顔を真っ赤にして苦しむ唯を目にして真琴は一気に階段を駆け上がり、栗山に接近した。

 「止まれ」

 栗山の声で真琴は動きは止めた。

 「それ以上、近づいたら。唯は死ぬぜ」

 栗山は勝ち誇ったような笑みを見せて真琴を見下ろした。つま先立ちにまで引き上げられている唯は苦しそうにもがいている。栗山は肩にロープを担いでいつでもそれほ引き絞れるような体勢を整えているのだ。

 階下に足音が響き渡り、男たちがわらわらと姿を現し、唯を拘束し、真琴に迫ってきた。

 「これでも暴れるつもりか?」

 木曽が唯の喉にナイフを着き付けているのを目にして真琴は自分たちの逃亡が失敗に終わったことを確信した。

 「端から、とんでもないじゃじゃ馬振りを見せてくれたな。この落とし前はきっちりと付けさせてもらうぜ」

 松井によって後手に拘束されている真琴の蒼ざめた頬を叩いた三枝は憎々しげに言い放つと栗山に握手を求めた。

 「また、栗山さんに危ないとこを助けてもらった。礼を言うよ」

 「いや、たまたま二階にいたのが幸運でした」

 「しかし、とんでもない娘だ。松井も木曽さんも一撃でのしちまった」

 三枝はプレイルームに連行される真琴を見てその時の恐怖を語るのだった。

 栗山と共に二階に下りた三枝はそこで再び、逃亡に失敗し、項垂れた姿を見せている唯を見つけるとその頬を叩いた。

 「また、逃げ出そうとしやがったな。お前にも罰を与えてやらねばならない」

 三枝の耳元に栗山が何やら吹き込むとそれまで怒っていた三枝の表情が一瞬にして和んだ。

 「栗山さんがとっておきのお仕置きを考えてくれたぜ。真琴のお仕置きは待っているからその前にやって来て下さい」

 三枝に言われた栗山はニンマリとした笑いを浮かべると迎えに現れた由里と共に唯を一階へと押し立てるのであった。

 唯の胸のうちは後悔で一杯だった。真琴のあまりに素晴らしい攻撃力を目にし、もしかしたらという希望を抱いて逃亡を企てたのだが失敗に終わり、また、罰を与えられる事になってしまったのである。悪魔たちの容赦ない恐ろしさに階段を下りる膝頭の震えは止まらないのである。

 一階から更に地下室に押し立てられた唯は裸の娘たちがガラスの中で生活する様を目にして唖然とした。そして、地獄の巣窟に捕われた自分の立場に唯は絶望を感じずにはいられなかった。

 「ねえ、栗山さん。唯を皆に紹介しておこうよ。このお仕置きが済んだら中に入れるんだからさ」

 由里の提案に頷いた栗山はガラスの扉を開いて中に唯を引っ張りいれた。

 女たちは新しい奴隷の登場を緊張を持って見つめている。木曽の性癖を満足させるために女たちは全員パンティの着用を許されていた。そんな中に全裸の唯の登場に彼女たちは好奇の視線を向けている。

 「もうすぐ、お前たちの仲間になる女だよ。さあ、自己紹介しな」

 頭を小突かれた唯は顔を真っ赤にさせて口を開いた。

 「椎名唯です。宜しくお願いします」

 椎名唯と聞いて、娘たちの口から驚きの声が洩れた。まさかそんな有名人が奴隷として加わるとは夢にも思わなかったからだ。皆、俯き加減のその顔を覗き込み椎名唯であることを確認しようとしていた。

 「唯はお仕置きを受けてからここに入れるからね。仲良くしてやってよ」

 由里はそれだけ言うと唯の肩を押してガラスの部屋から退散した。

 唯が連れてこられたのは地下室の一角にあるマンホールのある場所だった。聞き分けのない奴隷を教育するために栗山が考えた暗闇の牢獄に唯は閉じ込められるのであった。

 栗山がマンホールの蓋を外すと由里が怯えを見せている唯の肩を突付いた。

 「さあ、中に降りるんだよ」

 暗闇に閉じ込められることを知った唯は足が竦んで動けない。しかし、由里に尻を叩かれ、激しい口調で催促されると、啜り上げながらはしごを伝って中に入ってゆく。

 「両腕を上に上げな」

 唯が両腕を頭上に上げると手錠を穴の淵に設置されているフックに引っ掛けた。こうして唯は吊り下げられる形で穴の中に立つ格好にされた。

 「蓋を閉めちゃえば真っ暗闇だし、お前の声も聞こえない。泣いても喚いても無駄だよ。夜になったら出してやるからそれまで辛抱するんだよ」

 しゃがみこんで涙を浮かべた唯の顔を見下ろした由里がそういうと栗山が蓋を持ち上げその上に被せようとする。

 「あー、止めて。閉めないで、もう、逃げたりしないから」

 唯の泣き叫ぶような訴えを無視して蓋は完璧に閉じられた。真の暗闇が唯を襲った。下水に直結してるためじめじめとした空気がその恐怖を一層煽り立てている。

 「キャー」

 唯は足に何か触れたので悲鳴を放った。ゴキブリもその底を徘徊している不衛生極まりない場所なのだ。唯の後悔の念は一層、激しくなった。小さな空間の中で唯は自分の啜り上げる声だけが響く暗闇の中でその孤独と恐怖に苛まれる罰を与えられることになったのである。

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