白い実験動物

 生まれたままの素っ裸を後手に拘束され、天井から吊られている千春は瑶子の手によって今、正に女の最後の誇りを剥ぎ取られている。

 ガムテープによって口を塞がれてはいるがその両目は固く閉ざされ、無念の表情を浮かべ、千春の逞しい太腿は瑶子の剃刀の動きによって時折、痙攣を見せているのだ。

 「ふふふ、何をそんな辛そうな顔をしてるのよ。ぐんと若返らせて貰えるのよ。もう少し、楽しそうな顔をしなさいよ。先輩」

 傍らに立つ、由香は惨めな仕置きを受けている千春を目にして悦に入っている。その思いは薄い笑みを浮かべ、剃刀を無言で走らせている瑶子にとっても同じであった。

 誇り高く、気高く、そして犯すことの出来無い美術品のような肉体を持ち、男を寄せ付けないほどの武術の心得を持つ千春が自らの手によって女としての最後の盾を剥ぎ取られる。こんな愉快なことがあるだろうか?それは瑶子がこの計画を思いついたときから夢に描いていた光景であった。瑶子は心の中で喝采を叫びながら剃刀を動かしていた。

 美女の剃毛という淫虐な私刑を男たちはニヤけた顔をして見つめている。しかし、桑原の隣に座っている香は千春の裸体に厳しい視線を注いでいた。桑原とのSMプレイでいつも苛められている香はこの哀れな千春を泣き喚かせたいという衝動を覚えていたのだ。

 千春の足元に敷かれた紙の上に、次々と縮れた毛が落下して行く、瑶子は丁寧にそして慎重に剃毛の刑を執行していた。

 千春は固く瞼を閉じ合わせ、肌の上を剃刀が滑る、不気味な感触を堪えている。ともすれば腰を振ってその感触から逃れようとする衝動を自ら封じ込めているのだ。

 「さあ、綺麗になったわよ。我ながら素晴らしい出来栄えね」

 剃刀を置き、用意してあったタオルでその箇所を念入りに拭った瑶子は薄い笑みを浮かべて立ち上がった。同時に千春は慌てたような気分になり、肉付きの良い太腿をぴっちりと閉じ合わせるのだった。

 一同の視線がそこに集中しているのを意識して、屈辱を感じた千春の全身は小刻みに震えだす。

 「まあ、すっかり若返ったじゃない。見事に剃り上がったわよ」

 意地悪い笑みを浮かべた由香は手鏡をその部分にかざすと千春の火照った頬を突付く。

 「さあ、目を開いてご覧なさいよ」

 千春はおずおずと潤んだ瞳を開き、鏡を目にしそのあまりにおぞましい光景に耐えられず再び目を閉じた。

 「どう?15年ぶりくらいにツルツル坊主になったご気分は?」

 由香の笑いながらの毒舌が胸に突き刺さった千春の目尻から一筋涙が尾を引いた。しかし、そんな事にも悪女たちは嘲笑を叩きつける。

 「まあ、嬉し涙を流してるわ。先輩、こんなに喜んでもらえるなら、毎週、剃り上げてやりましょうよ」

 由香の言葉に写真を撮っていた瑶子も大きく頷いて笑みを浮かべる。

 「そうね。奴隷の心を忘れないように毎週剃る事にするわ。いいわね?奴隷さん」

 そう言った瑶子は高らかな笑い声を上げるのであった。千春はただ唇を噛み締め、彼らの侮蔑の言葉に耐えるしかなかったのである。

 「ねえ、社長。このまま、この女奴隷の嘘を許すなんて甘すぎますわ。何かもう一つお仕置きして上げないと」

 剃毛された千春の全裸像を唇をだらしなく開いて見つめている桑原に香は少々嫉妬して口を開いた。このまま男たちに抱かれるだけではつまらないとでも香は思ったのだろう。

 「ああ、そうだな・・・栗田君。君たちに任せるよ」

 桑原の言葉に反応したのは吉村だった。吉村は注射器とアンプルを手に社長の前に進み出ると含み笑いを浮かべる。

 「社長。この女を実験材料にしてみたいのですが?」

 「ああ、構わない。好きなように使いたまえ」

 「通常の催淫剤を開発しているときに生成できたのですが、その効果があまりに強烈な事が予測されるため、製品化はおろか生体実験も行えていません。この女で試したいのですが?」

 「まあ、面白いわ。どんな風になるか見てみたいわ」

 残忍な笑みを浮かべた香は桑原の腕を取って催促する。桑原も大きく頷いた。千春は強烈な催淫剤を投与されることになったのである。

 「ねえ、羽鳥さん。今までよりも凄い催淫剤ですって、楽しみでしょう?」

 瑶子は怯えの表情を見せ始めた千春の頬を突付いてケラケラと笑えば由香も見事な乳房を叩いて声を掛ける。

 「ゼルダ製薬で開発された新薬の第一号の実験台よ。光栄じゃない」

 二人の悪女に笑われた千春であったが差し迫った恐怖は抑えようも無い。吉村の手にある注射器に溶液が吸い上げられのを千春は引きつった表情で凝視している。

 「あらあら、逃げちゃ駄目よ。ちゃんとしてなさい」

 吉村が近づくと思わずそれを避けるように背を向けた千春を瑶子は笑いながら肩を押し、それを押し留める。

 「身動きしないようにしっかり抑えていてくれよ」

 左の二の腕を消毒した吉村に言われ、由香もその肩を抑えると千春は覚悟したかのように身動きを止め顔を背ける。吉村は無表情のまま注射針を突き刺した。

 僅かな痛みを感じた千春は眉を寄せたが注射液は全て注入された。千春は自分を変えてしまうかもしれないおぞましい液体を体内に収めたのである。

 「これで良し。暫く待って見よう」

 吉村の言葉に二人の女も手を離し、思い思いの場所に座って千春の変化を見物する。壇上に残された素っ裸の千春は深く首を垂れ、小さな呼吸を繰り返している。惨めな晒し者にされている自分がやがてどのような狂態を示すかわからぬ恐怖に苛まれながら・・・

  何分も経たずに千春の全身は汗ばみ始め、ぴっちりと合わせている太腿をしきりに擦り合わせる仕草を見せるようになった。

 眉を寄せ身体の奥底から込み上がってくる情感を何とか堪えようとしている千春の姿を目にした瑶子は由香と顔を見合わせると立ち上がった。

 「まあ、随分と苦しそうじゃない。どうかしたの?」

 わざとらしい言葉を吐いた瑶子は固く張り詰めている千春の乳首を無遠慮につまみあげる。とたんに弾かれたように顔を仰け反らせる千春を目にして由香は笑い声を上げた。

 「随分と敏感なのね。ここはどうなってるの?」

 無毛の地となった股間を由香に探られても千春は狼狽を示すどころかそれを待ち受けてたかのように足を開きその指先を迎え入れる。千春の豹変した態度に二人の女は視線を合わせ含み笑いを洩らす。

 「まあ、もう、こんなになってるわ。凄い効き目ね」

 指を取り出した由香はこれみよがしにその汚れを千春の白い腹部で拭い、笑い声を立てるのだった。女たちの嘲笑を浴びても既に全身に薬が駆け巡っている千春は屈辱を感じるゆとりも無い。この灼熱のような状態を何とか脱したいとそれだけを願っていた。

 「何か言いたそうね。しゃべらせてあげるわ」

 ここまで追い詰めてしまえば社長に救いを求める懸念もないと感じた真っ赤に上気した頬に貼り付いているガムテープを剥ぎ取った。

 「ああ、お願い何とかしてよ」

 ようやっと口を自由にされた千春は必死の眼差しを二人の悪女に向けた。既に千春の全身は桜色に上気し、ねっとりと汗ばんでいる。催淫剤の意地悪い効果を沈めるべく千春は二人に哀願しなければならなかった。

 「まあ、ミス・ゼルダとまで言われた方がそんな事を要求するなんてはしたないですよ。もう少し、我慢したら如何?」

 瑶子は意地悪い笑みを浮かべたまま千春の乳房をゆっくりと揉み上げる。しかし、身体の芯から突き上げてくるような情感に身を焼く千春はそんな瑶子の行為をじれったくて仕方ない。

 「ああ、お願い。意地悪しないで・・・早く・・早くしてよ・・・」

 涙を浮かべて哀願を続ける千春に暗い悦びを覚えた由香が形の良い顎を捉え、自分の方に向けさせる。

 「あら、先輩。何をして欲しいの?はっきりと言って戴かないとわからないわ」

 由香の言い方が余りにもわざとらしいので一同から失笑が洩れた。しかし、閉じ合わせた太腿が痙攣するほど発情してしまった千春にとっては羞恥よりも本能が優先している。

 「ああ、わからないの?早く、お、お腹の中を掻き立てて・・・」

 振り絞るように欲求を伝えた千春を見て今度は一同、爆笑する。好きなだけ嘲笑えばいい、千春は半ば開き直ったような気分になっていた。

 「そうね。このままにしておいたら気が狂ってしまうかもしれないわ。まずはこれを付けて自分で悩みを解いて御覧なさい」

 瑶子が取り出したのは真ん中に結び目の付いたロープだった。その結び目を女の急所に嵌め込み、自分を辱めようとする彼女たちの企みを知っても千春は狼狽しなかった。この身を焼くような感覚を何とか解消したかったのだ。

 くびれた腰にロープを巻き付けられ、結び目を咥え込まされた千春は大きく息を付いた。両手が自由なら人前でもその部分を刺激していたであろう千春はようやっと待ちかねていた刺激を得られることにほっとした気分になったのだ。

 股間を通したロープをしっかりと結びつけた瑶子はその官能的に盛り上がった尻を手で叩いた。

 「さあ、ぴっちりと食い込ませてあげたわ。後は自分で悩みを解消するのよ」

 瑶子に笑われた千春はそんな事に屈辱を感じている余裕は無かった。押し寄せてくる淫らな感覚を何とか処理しようと必死になって腰を動かし始める。

 「まあ、先輩。皆が見てるのよ。少しは恥を知りなさいよ」

 由香に笑われても千春は動きを止めなかった。剃毛された股間を真一文字に割ったロープを厳しく食い込ませた千春は熱い吐息を繰り返しながらより大きな刺激を得ようと腰を激しく動かす。その光景を目にした男たちも情感を昂ぶらせ、必死になって自らを崩壊させている白い動物に目を凝らすのであった。

 切なげな吐息を吐きながら必死になっている千春と女たちの忍び笑い、そして、荒くなってきた男たちの発する鼻息だけが辺りを支配している。汗に滑り始め蠢く白い裸体に男たちは欲望を募らせてゆく。千春はそんな男たちの視線など気にする余裕など無く、一途に欲望を追い求めていた。

 「ねえ、おっぱいを、おっぱいを揉んで・・・」

 一気に頂点に駆け上らないじれったさに耐えかね、千春は掠れた声を出した。すぐさま、薄い笑みを浮かべた瑶子が背後に廻り、汗ばんだ肌に手を這わせる。

 「こうね。こうすればいいんでしょ?」

 「も、もっと強く揉んで・・・」

 乳房に受ける刺激を更に要求した千春に応えて瑶子は力を強めると熱い吐息を繰り返しながら千春は激しく腰を前後に揺すり始める。

 「うっ・・」

 瑶子の指先が息苦しく勃起した乳首を強く抓みあげたとたん千春は小さく呻き、動きを止めた。遂に待ち望んでいた快感の荒波に押し流されたのだ。催淫剤を注入され、衆人監視の中で生まれたままの素っ裸を拘束され、羞恥の極限を露呈する悔しさなど千春は感じなかった。ただ待ち望んでいた瞬間が訪れたことに歓喜の涙を流しているのだ。

 「ふふふ、とうとう、往っちやったわね」

 股間に食い込ませたロープまま腰から太腿に掛けて激しい痙攣伝えているを千春を目にして瑶子は胸のすくような爽快感を味わっていた。常に自分より優位の立場にあり、小馬鹿にしたような態度を取り続けた千春を自らの手で肉欲を味合わせ、崩壊させたことに満足を覚えていたのだった。

 「それにしても凄いわ。こんなに溢れさせるなんて・・・」

 由香は腰を屈め、無毛の股間に食い込んだロープに染み込んだ千春の愛液を見つめ、クスクスと笑うのであった。

 「あっ、まだ、まだ、取らないで・・・」

 それまで極まった感情に支配され、シクシクとすすり泣いていた千春は瑶子がロープを取り去ろうとすると慌て気味な声を出した。

 「あら、どうしたの?・・・すっきりとしたんじゃない」

 再び、情欲の残り火が燃え上がり始めたと感じた瑶子は千春の哀願を無視するかのようにロープを取り去って行く。

 「また、また、始まりそうなの・・・」

 頬を染め、恥ずかしそうに告げる千春を目にした由香はあらかじめ用意していたバイブレーターを取り出し、これみよがしに千春の目の前に突き付ける。

 「これを入れて欲しいんでしょう・・・」

 不気味な音を発し、蠢くそれを目にした千春は吸い寄せられるように身を寄せる。

 「入れて、入れて欲しい・・・」

 本能iに支配されるようにその言葉を吐いた千春に一同は失笑する。しかし、由香は意地悪い笑みを浮かべるとそれを引っ込めてしまう。

 「あら、駄目よ。ちゃんと奴隷らしくお願いしないと望みは叶えてあげないわ」

 そこまで言って笑い声を上げた由香は瑶子に目配せをした。瑶子は千春を鎖から解き放ち、両腕を拘束していた縄も解いてしまう。支えを失った千春がその場に膝を突くと勝ち誇ったような表情を浮かべて由香がその前に立った。

 「さあ、土下座して頼みなさいよ。バイブレーターが欲しいって言いなさいよ」

 千春の頬を悔し涙か一筋伝わった。自らを辱めることを自分の口から要求しなければならない辛さ恥ずかしさ・・・。しかし、突き上げてくる情感の疼きに千春の腰部は時折を痙攣を見せる。千春は座り直すと両手を床に突いた。

 「ど、どうしてもそれが欲しいんです・・・。お願いです。入れて下さい」

 「どこに何を入れて欲しいのかさっぱり判らないわよ。はっきりと言いなさいよ」

 由香はここぞとばかりに千春を言葉でいたぶり、責め立てる。千春は振り絞るような声を上げなければならなかった。

 「バ、バイブレーターを私の中に入れて下さい」

 とうとう、泣き出して懇願する千春に満足を覚えたのか由香はバイブレーターを投げ出した。

 「自分の手でやりなさいよ。我慢できないんでしょう」

 ケラケラと笑い声を上げる由香に千春の涙を飲み込み、目前に蠢くバイブレーターに視線を落すのであった。