全裸の対面

 「随分と待たせちゃったわね。取調べを再開するわよ」

 千春は上機嫌になった瑶子の声で目を覚ました。吉村も傍らには控えている。また、彼らによって淫虐な拷問に遭わされるのかと思うと千春の心は暗く曇った。しかし、そんな思いは表に見せず、千春は身体を動かし始める。

 檻に戻された千春は知らないうちに眠りついてしまっていたのだ。社長に告白し、助かる希望が見えてきた安心からかここに捕われて始めての熟睡だった。

 檻から千春が這い出てくると瑶子はすぐさまその両腕に手錠を掛け、引き起こした。

 「今日の取調べはきついわよ。耐えられるかしらね?」

 瑶子が薄笑いを浮かべ強張ったままの頬を突付いても千春は表情一つ、変えなかった。例え死ぬほどの拷問を受けても彼らには屈しないという千春は強い決意を持っているのだ。

 「さあ、行きなさい」

 瑶子によって肉付きの良い尻を叩かれた千春は視線を落としたまま足を前に踏み出した。

 後に従う、瑶子が上機嫌になって吉村と話していることが千春を不安にさせた。自分の反撃に遭い、困惑していた昨夜とは明らかに違っていたからだ。しかし、強い決意を胸に秘めている千春は不安を打ち消すかのように首を振ると冷たい廊下を踏みしめ、拷問部屋と化した厨房へと向うのであった。

 厨房には栗田が待っていた。そして、千春の思いもかけぬ人物がそこにいた。

 「わ、我妻さん」

 自分を慕い、何かと面倒を見た我妻真希が憔悴したような姿で椅子に座っているのを目にした千春は思わず声を掛けてしまった。

 「せ、先輩・・」

 真希も丸裸にされ手錠を掛けられた千春の姿を目にして驚きの表情を浮かべる。正に信じられぬ光景を目にした真希は困惑するしかなかった。

 千春も自分の惨めな姿を後輩の目の前に晒していることに気が付き、顔を背ける。そんなことをにはお構い無しの瑶子は滑らかな背中を押して千春を鎖の下に押し立てるのであった。

 「先輩。何で、こんな目に遭ってるんですか」

 真希の疑問に答えたのは栗田常務だった。

 「それはね、羽鳥君が産業スパイを働き、我が社に多大な損害を与えたからだよ。その罪滅ぼしとして奴隷としてここに監禁されているのさ」

 「嘘。先輩はそんな事をする人じゃありません」

 真希は必死になって千春を擁護した。裏表など無く誰にでも優しく接する千春がスパイ行為などするわけが無いと真希は思っている。

 「お願いします。もう一度、よく、調べて下さい」

 涙さえ浮かべ、栗田に懇願する真希の肩を瑶子が包み込むように抱きしめた。

 「あなたは酷い目に遭って疲れてるのよ。もう一度、部屋に戻って休んでいなさいね」

 妙に優しく、そして、有無を言わさぬ勢いで真希は後ろを向く自由さえ与えられず真希は厨房から押し出されてしまった。

 真希が瑶子と共に厨房から去ると栗田は天井から鎖によって吊るされている千春に近づいた。

 「羽鳥君。いい加減に本当のことをしゃべってくれないか?君がやったという状況証拠は残っているんだから・・・」

 「してません。そんな、スパイだなんてとんでもないです」

 千春は栗田の顔を睨み付けながら抗弁した。しかし、栗田の態度も昨日とは一変していた。薄笑いを浮かべ、見事なまでの千春の裸体に嘗め回すような視線を這わすのでる。

 「ふふふ、社長たちは朝からゴルフに出かけている。戻ってくるのは夕方だ。それまでの間、たっぷりと時間はあるからね・・・」

 「何をされても平気です。やってないものは自白できません」

 千春の強気な態度に笑みを浮かべた栗田は再び、椅子に腰を落としその全裸像に目を細めるのであった。

 厨房の扉が開き、丸裸の男がストレッチャーに乗せられ吉村と瑶子によって運ばれてきた。千春はその男の顔を見て、表情を一変させた。弟の雄一だったからである。

 「な、何で雄一なの。弟に何の罪があるの?」

 千春が悲鳴のような声を上げたので瑶子は笑いを浮かべ、近づいてきた。

 「あなたの弟はね。あなたを探しにここまでやってきたのよ。そして、大変なことをしてくれたのよ」

 「弟が、な、何をしたの・・・」

 「我妻さんを強姦したのよ」

 「う、嘘よ。弟がそんな事、する訳無いわ」

 即座に千春は瑶子の話を否定した。優しくて他人にも思いやりを持って接する雄一がそんな事をするなんてにわかに信じられない千春であった。しかし、先ほどの真希の姿を目にしていた千春は不安げな表情を浮かべる。

 「ふふふ、信じられないようね。じゃあ、証拠を見せてあげるわね」

 瑶子は傍らのテレビを引き寄せるとスイッチを入れた。それはあの部屋を撮影していた監視カメラの映像であった。音は出ていないがそこには雄一が真希に襲い掛かり、無理矢理、関係するシーンが映し出されていた。

 千春はその映像を見せられと呆然とした表情になった。そんな千春の横顔を楽しげに見ていた瑶子はテレビのスイッチを切ると再び口を開いた。

 「どう?判ったでしょう。弟はねとんでもないことをしたのよ。ここでちよっと懲らしめてやるの。黙って見物してなさいね」

 雄一の裸体に虚ろな視線を投げ掛けたまま身動きしなくなった千春の口にガムテープを貼り付けた瑶子は一際高い笑い声を上げると調理台の上に移され、四肢を固定され気を失ったままの雄一の傍らに立つのであった。

 「ねえ、起きなさいよ」

 瑶子に強い調子で頬を叩かれた雄一は痛さに眉を寄せて眠りから覚めた。

 「とんでもない事をしてくれたじゃない。これからお仕置きをさせてもらうよ」

 裸の胸を叩かれ、雄一は自分が全裸にされ、四肢を固定されていることに始めて気が付いた。

 「あっ、何ていうことをするんだ」

 何もかも丸出しの状態に雄一は狼狽し、その裸体を揺すって悶えるのだ。その姿が余りにも滑稽なので瑶子は笑い声を上げる。

 「何を恥ずかしがってるのよ。お姉さんを見てご覧なさいよ」

 瑶子によって顎を捉えられ、自分の正面に吊るされている素っ裸の女が千春だと気が付いた雄一は驚きの声を上げる。

 「お前たち。姉さんに何をしたんだ。こんなことが許されると思ってるのか?」

 目を吊り上げて抗議の声を上げる雄一に苦笑を浮かべた瑶子はその今は怒りを鎮めた一物に手を伸ばした。

 「こんな物を丸出しにして、偉そうな口をよく利けるわね」

 「あっ、離せ。やめろ」

 瑶子の指先を感じ、必死にもがいて逃れようと抵抗を示した雄一であったが両足を大きく開かされ固定されている状態ではそれも無駄であった。瑶子にがっちりと捉まえられしごき上げられる雄一は悔しそうな表情を浮かべながら必死に身悶えた。しかし、瑶子にがっちりと捉まえられたそれを刺激されるうちに興奮を覚えた雄一は瞼を固く閉じ合わせ、抵抗を止めた。

 「そうそう、おとなしくしていた方が得よ。私のテクニックも捨てたもんじゃないものね」

 薄笑いを浮かべた瑶子は固さを増し始めた一物を深く握り締めると愛撫のピッチを上げ始める。

 「ふふふ、若いわね。もう、こんなに固くして・・・。戦闘態勢に入ったみたいね」

瑶子が手を離してもそれは十分な固さを維持し、斜め上方を向いたまま直立している。満足な笑みを浮かべた瑶子はそれを弄ぶようにその先端に指先を乗せ、軽い刺激を与え始める。

 ブルッと全身を震わせた雄一はこんな女に弄ばれる悔しさに歯噛みしながら口を開いた。

 「ね、姉さんが何をしたというんだ。何でこんな仕打ちを受けなければならないんだ」

 再び怒りがこみ上げてきた雄一がほえる様に尋ねると瑶子はその頬を優しく撫でつけ、諭すように口を開く。

 「お姉さんは会社の情報を洩らしたのよ。産業スパイなのよ。だから会社に損害を与えた罪で奴隷として扱われているのよ」

 「う、嘘だ。姉さんがそんな事をする筈が無い。何かの間違い・・・」

 突然、雄一の顔が苦痛に歪んだ。吉村が直立した一物の根元の左右に針を突き刺したからだ。

 「な、何をするんだ」

 「ふふふ、これからたっぷり時間を掛けてお仕置きするのよ。二度とあんな気が起きないようにね」

 雄一が慌て気味な声を上げると瑶子はその強張った頬を撫で付け薄笑いを浮かべるのであった。

 その部分に軽い痺れを感じ、得体の知れない恐怖を感じ始めた雄一の一物は一気に興奮を忘れ去り頭を垂れ始めた。二本の針金に取り付けられているコードがトランスにまで伸びていることを知った千春は目を見開いている。悪魔たちの恐ろしい拷問を身を持って体験している千春は気が気ではないのだ。

悪辣な拷問

 「そろそろ。いいかしらね・・・」

 雄一の一物が冷静を取り戻し、ぐったりと萎えたのを目にした瑶子は意地悪そうな笑みを浮かべ、吉村に対して片目を瞑った。瑶子の無遠慮な振る舞いに恐怖を覚えた雄一はその行動を目で追うのだった。

 「怖いの?さっきはどうしても射精できなかったわね。ふふふ、今度はどんなことにかるかしらね」

 瑶子の目配せを受けた吉村がトランスのボリュームを上げると雄一の全身はがくっと震え、その口から悲鳴が迸った。

 「や、止めてくれ。そ。そんなこと・・・」

 電流が通されたことで雄一の一物は再び、力を漲らせてくる。

 「あ、ああ」

 忽ちにして手を衝くほどの興奮を示した雄一を目にして瑶子は笑い転げている。千春は弟の無様な姿を正視できず顔を背けた。男の生理をもろにさらけ出す無残な拷問を受け、雄一は苦悶していた。電流による刺激によって男は興奮を示すが最後の一歩に踏み切れないのだ。

 「ふふふ、苦しいでしょう?出したいでしょう?」

 雄一の苦しげな表情を目にして妖しい悦びに火が付いた瑶子が語り掛けると雄一の怒りの言葉が迸った。

 「だ、黙れ。悪魔・・・」

 それを耳にした瑶子の顔つきは険しくなり、その強張った頬を力任せに打ち据える。

 「人の事を悪魔なんて良く言うわ。もっと苦しみなさいよ」

 突き放すように言った瑶子は椅子に腰を下ろすとビールを煽った。そして、異常なまでの興奮を示して、息衝いている雄一の一物に据わった目を向けるのであった。

 雄一は火照った頬を右に左打ち振り、この地獄のようなじれったさの中で喘いでいた。あと少しの刺激さえあれば射精をすることが出来る。そして、この苦しみから解放される。雄一は笑いものにされることさえ忘れ、それだけを願っていた。

 たっぷりと雄一の苦しむ様を堪能した瑶子は燃えるような視線を自分に注ぎ続ける千春の顔を窺い薄笑いを浮かべるとその火のように熱く煮えたぎった一物に手を添えた。

 「十分楽しんだでしょう?往生させてあげるわ」

 力を込めて握り締めたそれを二、三度、揺り動かすと雄一の口から呻き声が洩れ、固定された太腿が痙攣した。

 「あははは、とうとう、往ったわね。気持ち良いでしょう」

 勢い良く噴出するそれを眺めて瑶子は狂気めいた笑い声を上げると官能を噛み締めるように唇を噛み、目を閉ざしている雄一の表情を見て満足の笑みを洩らした。勿論、悪魔たちの目的は雄一を辱めることでは無く、それを目撃させ、千春を屈服させることにあるのだ。

 「どう?すっきりしたでしょう?この凄い気分、初めてでしょう?」

 瑶子は熱が冷め始めたそれを指で弾くと相変わらずしっかりと目を閉じたまま悔しそうな表情の雄一の顔を覗き込んで笑みを浮かべるのであった。

 「そろそろ、次を始めようかしら?」

 瑶子の目配せを受けた吉村が電流を流し始めると雄一はビクッと全身を震わせ、気弱な瞳を見開いた。

 「も、もう、止してくれ。に、二度とあんなことはしない・・・」

 「あら、駄目よ。骨身に堪えるほど思い知らせてあげるわ。それに若いんだからもっと出しても平気でしょう」

 瑶子はそんな事を言って視線を雄一の一物に向けた。それは再び固さを帯び、膨張し始めている。

 「ふふふ、若いっていいわね。ねえ、常務さん」

 瑶子が妖艶な笑みを浮かべるとそれまで黙って事の成り行きを見守っていた栗田も身を乗り出してきた。

 「ねえ、これを使って悪戯しましょうよ。若い男を懲らしめるには一番の方法よ」

 瑶子に太い筆を手渡された栗田は満更でもない顔つきになり、それをいきり立って腹を見せている雄一の一物に滑らせる。

 「あっ、ああ」

 「何があっよ。気持ち良くて往きそうなんでしょう」

 栗田の筆先で撫でられ、情感が募った雄一の頬を突付いて瑶子が笑うと雄一は唇を噛み締めた。電流と筆の刺激で雄一は今にも達しそうなのだ。

 「堪えたって無駄よ。往くまで続けるんですからね・・・」

 栗田に再び筆で責め立てられ、雄一は悔し涙を流しながら二度目の射精を行うのだった。悪魔のような連中の淫らな拷問に雄一は神経を削り取られるような思いを味わっている。

 一呼吸入れた悪魔たちは飲み物で喉を潤すと再び、電流を通し、無残な遊びの続きを開始するのだった。

 「ああ、こ、殺してくれ。も、もう、嫌だ」

 大声を張り上げ、この地獄の責め苦から逃れようとする雄一を嘲笑いながら栗田と瑶子は筆を使い続ける。

 千春は塞がれた口の中で懸命の叫びを上げ、悪魔たちの遊びを何とか止めさせようと身悶えている。しかし、瑶子はそんな千春の様子を薄笑いを浮かべて見やりながら、筆を動かし続け、雄一に三度目の射精を促すのであった。